米7月新築住宅販売件数、前月比4.4%増の71.4万件―市場予想上回る

経済

2023/8/24 10:27

<チェックポイント>

●中古住宅の深刻な供給不足を受け、新築住宅の購入にシフト

●住宅価格は前月比4.8%上昇―前年比8.7%低下も依然高水準

●過去3カ月の販売件数は計1.6万件―6月だけで1.3万件の下方改定

 米商務省が23日発表した7月の新築住宅販売件数(季節調整済み)は、前月比4.4%増の年率換算71.4万件と、前月(6月)の同2.8%減(改定前は2.5%減)から増加に転じ、今年最大となった。市場予想の平均である70.2万件も上回り、22年2月(77.3万件)以来の高水準。

 前年比は31.5%増と、4カ月連続で前年水準を上回った。ただ、20年8月のピーク時の102.9万件を大きく下回っている。

 7月の販売件数の増加は、住宅ローン金利が7%超と、急上昇しているため、3-4%の低金利時代に購入した中古住宅の所有者が売り出すのに躊躇、その結果、新規の住宅購入者の新築住宅シフトが続いていることが背景。しかし、市場では、建築コストの上昇により、手ごろな価格の住宅供給が抑制されていることに加え、7月以降、住宅購入の借り入れコストが上昇していることや、住宅価格の高止まりにより、手ごろな価格の住宅購入は一段と困難になっていると懸念している。今後、新築住宅の販売は横ばいとなり、年率約70万件で低迷すると予想している。

 住宅ローン金利はフレディマック(米連邦住宅貸付抵当公社)の30年固定金利の平均約定金利でみると、直近の8月17日時点では7.09%と、前週の6.96%や、1年前の5.13%を大きく上回り、高水準となっている。

 また、7月の住宅価格は中央値(季節調整前)で、前月比4.8%上昇の43万6700ドルと、6月の同0.7%低下から上昇に転じ、住宅購入者のアフォーダビリティ(住宅取得能力)が一段と悪化した。前年比は8.7%低下となり、22年10月の過去最高値(49万6800ドル)を12.1%下回っているものの、コロナ禍前の19年6月の水準(31万1800ドル)を40.1%も上回っている。

 新築住宅統計はサンプル数が少ないため、月によって変動が大きく、また、数値の大幅改定を受けやすいこともあり、今回の販売件数も割り引いて見る必要がある。過去3カ月(4-6月)の販売件数は計1.6万件の下方改定となった。このうち、6月は1.3万件の下方改定だった。

 住宅供給(在庫)は、7月の新築住宅在庫(着工前や建築中の住宅も含む。季節調整値)は前月比2.1%増(前年比4.8%減)の43.7万件と、2カ月連続で増加したが、22年10月のピーク時の水準(47.2万件)を7.4%下回っている。また、7月の販売ペースで計算した新築住宅の在庫水準は7.3カ月相当と、前月の7.5カ月を下回り、22年3月(7カ月相当)以来の低水準。ただ、住宅建築業界が需要と供給のバランスが取れた容認可能な水準とする6カ月相当を上回っている。

提供:ウエルスアドバイザー社

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ