【為替本日の注目点】米長期金利4.9%台に上昇

為替

サーチナ

2023/10/19 10:09

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 米金利上昇に支えられドル円は小動きのなか、149円94銭まで買われる。パウエル議長の講演を見極めたいとの想いと、介入警戒感が150円台載せを抑制。ユーロドルも小動きとなり、1.05台で膠着。株式市場は米金利の上昇を受け3指数が大きく売られる。ダウは330ドルを超え、ナスダックは200ポイントを超える下落。テスラ株が大きく売られる。債券価格は続落。長期金利は一時4.92%まで上昇し2007年7月以来となる高水準を付ける。金と原油は中東情勢の不透明さから再び大幅高。

マーケット情報

9月住宅着工件数 → 135.8万件

9月建設許可件数 → 147.3万件

ドル/円 149.64 ~ 149.94

ユーロ/ドル 1.0523 ~ 1.0574

ユーロ/円 157.68 ~ 158.23

NYダウ -332.57 → 33,665.08ドル

GOLD +32.60 → 1,968.30ドル

WTI+1.66 → 88.32ドル

米10年国債 +0.081 → 4.915%

本日の注目イベント

豪 豪9月雇用統計

日 9月貿易統計

欧 ユーロ圏8月経常収支

米 新規失業保険申請件数

米 10月フィラデルフィア連銀景況指数

米 9月中古住宅販売件数

米 9月景気先行指標総合指数

米 パウエル・FRB議長講演

米 グールズビー・シカゴ連銀総裁、Q&Aに参加

米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演

米 ローガン・ダラス連銀総裁講演

米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演

米 ジェファーソン・FRB副議長、中銀イベントで歓迎の挨拶

米 バー・FRB副議長講演

米 企業決算 → ブラックストーン、AT&T、

 米長期金利が一段と上昇し、昨日のNY債券市場では「4.92%」まで上昇。2007年7月以来、約16年ぶりの高水準を記録しました。中東情勢の混迷に加え、米財政面からの需給の悪化も追い打ちをかけ、債券売りは止まりません。言うまでもなく米国債は非常に流動性が高く、さらに安全性も担保されていることから、日本の生保、損保、銀行など、機関投資家も大量に保有しています。先物やオプションでヘッジする方法もあろうかと思いますが、保有している米国債はほぼ「含み損」を抱えていることになります。円でドルを買い、その資金で米国債を買っているケースが多く、為替ではかなりの「含み益」になっていると思われますが、それをはるかに上回る損が出ていると思われます。

 昨日のNYではその債券が大きく売られ、金利が上昇したことで株が売られ、リスク回避の流れから金が大きく買われています。また原油も大幅に上昇しました。イスラエルとハマスの戦争で、ハマスを支持するイランがイスラエルの全面的かつ即時ボイコットと、同国に対する石油禁輸をイスラム諸国に呼び掛けたことが要因の一つになっています。ドル円は米金利上昇を背景に149円94銭まで買われましたが、今回も150円には届いていません。介入警戒感と、日米金利差拡大の「綱引き」が続いていますが、常識的に考えれば、今夜あたりには150円台載せの可能性が非常に高いと思われます。ただ、パウエル議長の講演も控えていることから、発言内容次第では150円を前にUターンする可能性もないとは言えません。昨日はFRB理事のウォラー氏が改めて「ハト派寄り」の発言を行いました。理事はロンドンでの講演で、「政策金利の軌道に関して最終的に行動する前に、景気がどのように進展するのか様子を見ることは可能だと考える」と発言。さらに、「実態経済が冷え込み始めるのか、あるいは名目経済の物価が過熱するのかを確認するため、データを注意深く見ていく」と述べています。またNY連銀のウイリアムズ総裁も、「インフレ率を当局目標の2%に戻すためには、政策金利を景気抑制的水準に『当面』とどめておくべきだ」との見解を示しています。

 米下院議長選に意欲を見せている、トランプ氏が支持する共和党保守強硬派のジョーダン下院議員は、18日に行われた議長選の第2回投票でも選出に必要な票を獲得できなかったようです。今回の投票では初回投票よりも獲得票が少なく、造反した共和党議員は20人から22人に増えていました。ジョーダン氏は、下院議長選出を諦めるつもりはないと述べ、記者団に「支持獲得に向け、議員に声をかけ続ける」と話していました。(ブルームバーグ)2024年度予算の成立や中東情勢が不透明さを深めるなか、議会の混迷が為替市場へも影響を及ぼすことが懸念されます。

 昨日は日本の債券市場でも長期債が売られ、長期金利は「0.82%」まで上昇し、およそ10年2カ月ぶりの高水準を付けました。今月の決定会合で日銀が、物価見通しを上方修正するとの観測が売り材料となったようで、政策の修正を織り込む動きとも取れそうです。

 本日のドル円は149円~150円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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