【為替本日の注目点】米9月の個人消費支出は横ばい
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
150円台前半で始まったドル円はじり安の展開。介入警戒感に加えて本日から始まる日銀決定会合への思惑もあり149円47銭まで売られる。ユーロドルは1.05台半ばを中心にもみ合いが続く。株式市場はまちまち。ナスダックは5日ぶりに反発したものの、ダウは366ドル安と3日続落。債券は小幅に買われ、長期金利は4.83%台に低下。金は3日続伸し、原油は大幅に反発。
マーケット情報
9月個人所得 → 0.3%
9月個人支出 → 0.7%
9月PCEデフレータ(前月比) → 0.4%
9月PCEデフレータ(前年比) → 3.4%
9月PCEコアデフレータ(前月比) → 0.3%
9月PCEコアデフレータ(前年比) → 3.7%
10月ミシガン大学消費者マインド(確定値) → 63.8
ドル/円 149.47 ~ 150.08
ユーロ/ドル 1.0536 ~ 1.0597
ユーロ/円 157.89 ~ 158.57
NYダウ -366.74 → 32,417.59ドル
GOLD +1.10 → 1,998.50ドル
WTI +2.33 → 85.54ドル
米10年国債 -0.110 → 4.835%
本日の注目イベント
豪 豪9月小売売上高
独 独7-9月期GDP(速報値)
独 独10月消費者物価指数(速報値)
欧 ユーロ圏10月景況感指数
欧 ユーロ圏10月消費者信頼感指数(確定値)
英 英9月消費者信用残高
ドル円は150円台から小幅に売られ149円台半ばまで下げましたが、基本的に大きな動きは見られません。いよいよ今週は日米で重要な金融政策会合があり、恐らくFOMCでは利上げ見送りかと思われますが、それでも予断を許さず、日銀についてはさらに不透明感が強い状況です。そのため上値では介入警戒感があり、さらに日銀の政策変更観測が加わりドル円の水準をやや切り下げています。先週末に発表された10月の東京都区部の消費者物価指数(CPI)が、コアCPIで「2.7%」と、前月の「2.5%」を上回り、4カ月ぶりの伸びを見せました。このため、明日日銀が発表する物価見通しが上方修正されるとの見方が強まると同時に、日銀の政策修正にも一段と圧力がかかってきている状況です。「日銀にとって、物価の基調が上昇していると判断する追加的要因になる。今月の展望リポートで今年度、来年度の物価見通しを上方修正するのは間違いない」といった見方があることを、ブルームバーグは掲載しています。
欧米からの圧力にもかかわらず、イスラエルのハマスへの攻撃は激しさを増しています。イスラエルのネタニヤフ首相は28日、「戦争の第二段階に入った」と述べ、公式には地上侵攻は行っていないとしながらも、局地的な地上戦を継続しています。多くの軍事専門家は「国際的な批判を避けるため、なし崩し的に地上戦を行っている」との見方を強めています。ネタニヤフ首相は全国放映されたテレビ演説で、「われわれは敵を打ち負かし、自らの存在を保証するという一つの大きな目標がある」と語っています。すでにハマス側では8000人を超える死亡者が出ており、地上戦が激化すればその数はさらに増える見込みです。今朝の報道では関係者らは、今回の戦争は「6週間から6カ月続くと」見ているようです。
混迷の末、新たに米下院議長に就任したジョンソン氏は29日、FOXニュースの番組で、「今週下院でイスラエル単独支援法案を可決に持ち込むつもりだ」と発言し、「イスラエル支援は重大かつ緊急性の高い事案だと考えている」と述べています。ウクライナ支援に対する共和党の対応とはかなりの温度差があると感じますが、議会ではウクライナの支援も含めた包括的な法案とは切り離して可決させる模様です。また、11月17日に期限の来る現在の暫定予算についてジョンソン氏は「政府機関閉鎖を回避するため、短期のつなぎ予算を成立させ、連邦予算に関する幅広い交渉は来年度以降に持ち越す方針だ」と述べています。再び暫定的なつなぎ予算を決め、紛糾が必至な連邦予算については時間をかけて議論しようという、安全な方法を採用する方針のようです。
2024年大統領選への共和党候補者選で、ペンス前副大統領は辞退する意向を示しました。自身が仕えたトランプ前大統領に挑戦する形で立候補を表明しましたが、支持率が上がらず、さらに資金集めにも苦戦していた模様です。ペンス氏は、ラスベガスで行われた共和党ユダヤ人連合の会合で、「厳しい闘いになるとわれわれは常に分かっていたが、私に後悔はない」と語っていました。「ペンス氏への支持は、アイオワ州で6位、ニューハンプシャー州で8位、さらに全国調査の平均で支持率は3.5%だった」とブルームバーグは報じています。
本日は明日の日銀決定会合を控え動きにくい状況です。ドル円は先週、一時150円77銭近辺まで上昇し、円の長期金利も0.885%まで上昇し、日銀が上限とする1%に近づいてきました。いずれも、日銀が超金融緩和政策を維持していることが大きな要因の一つであることは自明のことです。先週のコメントでも触れましたが、日銀が現行政策の正当性を主張していた基調的インフレ率を示す指標も、「3つ全てが2%を上回って」きており、政策変更への圧力が一段と高まっています。今回は上限幅の上方修正やマイナス金利の撤廃、あるいはそれらを修正することを含むフォワードガイダンスなど、個人的にも「動く」と想定しています。
本日のドル円は149円~150円30銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)
・今日のアナリストレポート
https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm
・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧
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