<新興国eye>前週のブラジル株、ブラデスコ急騰や米利上げ終了観測を受け5週続伸=BRICs市況

新興国

2023/11/27 8:58

 前週(20-24日)のブラジル株式市場は24日のボベスパ指数が前日比0.84%安の12万5517.27、週間ベースでは17日終値比0.6%高と、5週続伸した。

 週明け20日は指数が上昇。翌21日は5営業日ぶりに反落した。22日は反発、23日も続伸した。

 週前半は、前週の米10月CPI(消費者物価指数)の弱い内容を受け、米利上げサイクルの終了観測と24年前半の利下げ転換への期待感が強まり、買いが優勢となった。また、指数の構成ウエートが高い鉱山大手ヴァーレが鉄鉱石相場の上昇を受け、急伸、上げを主導。その後は、FOMC(米連邦公開市場委員会)議事録でインフレ抑制を最優先する考えが示され、利上げサイクルの終了観測に疑念が生じたため、売りが優勢となった。また、これまでの急激な相場上昇を受け、利食い売りが広がった。

 週後半は、海外株高を好感し、買いが優勢となった。ただ、政府の23年の財政赤字が1774億レアルと、前回9月時点の予測(1414億レアル)から拡大したことが嫌気されたため、上値は重くなった。フェルナンド・ハダド財務相は1月時点で、23年の財政赤字を対GDP比約1%の1000億レアルと予想していた。その後は、指数の構成ウエートが高い金融大手ブラデスコのオクタビオ・デ・ラザリ頭取が辞任、新頭取にマルセロ・ノローニャ副頭取が昇格したことを受け、急騰、上げを主導した。

 週末24日は3日ぶりに反落。ルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ大統領が17業種の給与税免除を27年12月末まで延長する法案に拒否権を発動したことが嫌気された。拒否権行使は財政赤字を解消するため、税収入の拡大を狙ったもの。給与税免除は企業が従業員給与の20%に相当する社会保障負担を免除される代わりに、売上高の1.0-4.5%の税金を支払うことが可能となる。ただ、国営石油大手ペトロブラスが24-28年の5カ年計画を発表、設備投資が前回計画を上回る1020億ドル、石油生産量も13%増と予想し、上昇したため、下値は限られた。

 今週(11月27日ー12月1日)の株式市場は、中東紛争やウクライナ情勢、西側の対ロ追加制裁、台湾情勢や米中関係の悪化懸念、中国の景気動向、原油・ガスなどの国際商品相場の動向、国内の政治、ルラ政権の経済・財政・税制政策なども注目される。主な経済指標の発表予定は28日の11月中旬時点のIPCA(拡大消費者物価指数)や29日のジェトゥリオ・バルガス財団(FGV)11月IGP-MIインフレ指数と10月PPI(生産者物価指数)、1日の11月貿易収支と10月鉱工業生産、11月S&Pグルーバル・ブラジル製造業PMI(購買担当者景気指数)など。

<関連銘柄>

ボベスパ<1325.T>、上場MSエマ<1681.T>、上場EM債<1566.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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