株式新聞・24年相場アンケート(4)新興注目銘柄は人気分散、穴株は?

 市場関係者に聞いた東証グロース市場の注目銘柄は、昨年以上に票がばらけた。グロース株人気が後退しているほか、主力級銘柄の相次ぐ「卒業」で空洞化が進んでおり、シンボルストック不在の状況が影響しているようだ。

 3人が注目銘柄に選んだのは、ゲームセンター運営のGENDA(9166)とパーキンソン病専門老人ホームのサンウェルズ(9229)。GENDAはゲームセンター用マシンのレンタルからセガ系センターの買収を経て、現在は施設運営を主力とする。金融業界出身の女性社長が率い、M&A(企業の合併・買収)を繰り返して企業規模を急拡大させている。7月のIPO(新規上場)直後からM&Aを相次ぎ発表しており、成長性への期待感が膨らんでいる。

 サンウェルズの展開する「PDハウス」はパーキンソン病患者の症状に合わせたリハビリテーションを高い頻度で受けることができ、看護師による服薬管理などを24時間体制で支援。シニア向け施設運営企業の中では収益性が高く、確実な需要増が見込まれることから、アナリストの評価が高い。サンウェルズは昨年も2票を獲得していた。

有力テーマに乗る銘柄が人気

 2票を獲得した銘柄は、有力テーマに乗るものが多い。半導体関連、AI(人工知能)関連のティアンドエス(=T&S、4055)は、業績も堅調に推移。旬の軽量株として注目を集めている。カバー(5253)はグロース市場最大の時価総額を誇る銘柄。業績絶好調ながら、グロース市場全般の地合いの影響を強く受けるため、この銘柄の活躍はイコール、グロース市場全般の活躍となる。

新興アンケート

 Arent(5254)は建設業界向けDX(デジタルトランスフォーメーション)コンサルを行う。折半出資ながら持分法適用会社扱いのグループ会社の存在が財務への評価を難解にしている銘柄で、3月の上場時は評価不足の水準でスタート。上場後に成長性への見直しが進んでいる。アドベンチャー(6030)は旅行需要の回復、オキサイド(6521)は半導体関連、グローバルセキュリティエキスパート(=グローセキュ、4417)はサイバーセキュリティー関連のテーマに乗っている。(画像クリックで拡大版にジャンプ)

昨年上位銘柄のパフォーマンスは?

 昨年のトップ人気だった3銘柄のうち、ビジョナル(4194)とそーせいグループ(4565)がプライム市場へ上場区分変更を行っている。そーせいは年初から順調に上昇していたものの、6月に米ファイザーが、そーせいと研究している糖尿病・肥満症の治療薬「ロティグリプロン」の開発を継続しないと発表したことを受けて暴落。年末には年初の株価を下回っている。オキサイドも2月に高値を形成し、その後は調整トレンドとなっている。

 I-ne(4933)やマイクロ波化学(9227)も往って来い以上の下落となっており、ACSL(6232)は長期調整トレンドが継続。期待に応える値動きとはならなかった。

今年の穴株はグロース株が中心

 昨年、穴株にプライムの主力銘柄が多く選ばれる異常事態となったが、今年は一転してグロース株中心に選出された。ispace(9348)、QPS研究所(5595)は宇宙ベンチャーとして人気を集めており、巨大テーマの中核銘柄として24年相場でも活躍が期待されている。24年は月面着陸、探査の計画が目白押しで「ムーンラッシュ」が一大テーマとして注目されている。

 レナサイエンス(4889)、坪田ラボ(4890)などのバイオベンチャーも「ザ・穴株」といえる。かつてほどの存在感はなく、投資家の人気も後退しているものの、材料浮上に対する爆発力は健在。ABEJA(5574)、グリッド(5582)、ギッグス(9219)はAI関連のテーマに乗る。エネルギーコストの上昇で注目されるENECHANGE(4169)、スマホ用充電器のレンタルで成長性が注目されるINFORICH(9338)などもテーマ性で買える銘柄だ。

(写真:123RF)

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