<新興国eye>インド準備銀行、5対1の賛成多数で金利据え置き―タカ派姿勢を維持(2)

新興国

2024/4/8 9:13

 今後の金融政策について、中銀は前回会合時と同様、「インフレ期待の抑制を着実にし、過去の累積的な利上げによるインフレ抑制効果を十分に確保するため、積極的なインフレ抑制策を継続する必要がある」とし、その上で、「インフレ率を物価目標に収束させる決意を堅持し続ける」とし、当面、金融引き締めを維持する考えを示している。

 シャクティカンタ・ダス総裁は声明文で、インフレリスクについて、「今後数カ月間、気温が平年を上回ると予想されるため、食料品物価の上ブレリスクが高まる」と、熱波の農産物への悪影響に強い懸念を示した上で、「インフレ率が物価目標近辺で持続的に安定しない限り、中銀は緩和を検討しない」とし、また、「インド経済の力強い成長は中銀が物価安定に注力する余地を与えている」とも述べ、当面、金利を高水準に据え置く考えを強調した。

 市場ではインド経済は23年度(23年4月ー24年3月)の経済成長率見通しが前年比7.6%増と、堅調を維持していることから、中銀の利下げサイクル開始を今年後半、特に10-12月または12月に先送りした。また、中銀は通貨ルピーの相場を安定させるため、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ開始のタイミングを注視すると見ている。

 足元のインフレ状況は、2月のインフレ率が前年比5.1%上昇と、23年12月の同5.7%上昇から伸びが鈍化したが、依然、物価目標の中央値を上回っている。中期見通しについては、24年度を4.5%上昇と、前回会合時の予想を据え置き、第1四半期(4-6月)を4.9%上昇(前回会合時は5.0%上昇)、第2四半期(7-9月)を3.8%上昇(同4%上昇)、第3四半期(7-9月)を4.6%上昇(同4.6%上昇)、第4四半期を4.5%上昇(同4.7%上昇)と予想している。

 他方、景気見通しについては、中銀は23年度の経済成長率の見通しを前回会合時の7.3%増から7.6%増に上方修正したが、24年度を7.0%増に据え置き、第1四半期を7.1%増、第2四半期を6.9%増、第3四半期と第4四半期をいずれも7.0%増と予想している。

 また、中銀は今回の会合で最新の4月経済予測を公表した。それによると、23年度のインフレ率の見通しは5.0%上昇、24年度は4.5%上昇、25年度は4.0%上昇と予想、25年度に物価目標に収束すると予想している。また、GDP伸び率の見通しについては23年度は7.6%増、24年度を7.0%増、25年度は7.0%増と予想している。

 次回の金融政策決定会合は6月5-7日に開かれる予定。

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