【為替本日の注目点】米長期金利急低下

為替

サーチナ

2023/12/4 10:14

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円はパウエル議長のハト派寄りの発言に148円台前半から下落。一時は146円66銭まで売られ、29日に記録した直近安値に並ぶ。ユーロドルは下落。1.0829まで売られ、対円でも159円台半ばまで下落。ポジションの巻き戻しと見られる売りが活発に。株式市場は3指数が揃って上昇。ダウは4日続伸し、3万6000ドルの大台を回復し、今年の最高値を更新。債券はパウエル議長の発言を受け上昇。長期金利は一気に4.2%台を割り込む。金は大幅に買われ、過去最高値を記録。原油は続落。

マーケット情報

11月S&Pグローバル製造業PMI(改定値) → 49.4

11月ISM製造業景況指数 → 46.7

11月自動車販売台数 → 15.32百万台

ドル/円 146.66 ~ 148.26

ユーロ/ドル 1.0829 ~ 1.0983

ユーロ/円 159.60 ~ 161.30

NYダウ +294.61 → 36,245.50ドル

GOLD +32.50 → 2,089.70ドル

WTI -1.89 → 74.07ドル

米10年国債 -0.130 → 4.196%

本日の注目イベント

日 日銀が「金融政策の多角化的レヴュー」に関するワークショップの第一回会合開催

中 中国11月消費者物価指数

中 中国11月生産者物価指数

独 独10月貿易収支

米 10月製造業受注

 やはりこの人の発言は重いというか、市場はすぐに反応します。パウエル議長は1日アトランタで講演を行い、「かなり急ピッチでここまで来たあと、FOMCは慎重に前進している。引き締め不足と引き締め過ぎのリスクは一段とバランスが取れてきている」と話し、さらに、「政策は今、かなり景気抑制的な領域に入っている」と述べ、これまでと比べ「ハト派寄り」の内容でした。

 パウエル議長の11月9日の講演では、「金融政策のさらなる引き締めが適切となれば、そうすることをためらわない」と発言。「しかし、数カ月の良好なデータで見誤るリスクと、引き締め過ぎるリスクの両方に対処できるよう、引き続き慎重に行動していく」と述べ、金融政策の当局者はインフレ率を目標の2%に下げることに注力しているが、「そのようなスタンスを達成できたと確信していない」と話していました。ここ1カ月で幾つかの指標が景気抑制的な影響を受けている内容を示してきたことを踏まえての発言だとは思いますが、明らかに楽観的に変わったと思えます。FOMCメンバーの中にも同じような認識が広がってきたことが想定されます。議長は、「十分景気抑制的なスタンスを達成したと確信を持って結論付ける、あるいは金融緩和の時期について臆測するのは時期尚早だ。追加の金融引き締めが適切になる場合、そうする用意がある」と、けん制する発言も行いましたが、市場は前者の部分に大きく反応し、株と債券が買われ、長期金利が大きく低下したことでドル円は売られました。先週29日(水)に付けた146円66銭に並びましたが、今朝のオセアニア市場ではその水準を下回っています。

 先週のコメントでも書きましたが、ドル円は目先152円手前でピークを付けた可能性があり、日足の「一目均衡表」でも「雲の下抜け」を完成させています。これまではドルが売られたら拾う展開でしたが、今度はドルが戻ったところを売る展開になってきたように思います。軟調な米経済指標が発表されてドルが売られても、直ぐに切り返して来たこれまでとは明らかに環境が異なってきました。米金利が大きく低下し、金利高に弱い「金が過去最高値」を更新し、NYダウも3万6000ドルの大台を超えてきました。この先円が買い戻されるようだと、クロス円での巻き戻しも活発になり、これがドル円を押し下げる一因にもなります。先週末のNYでのユーロ円の動きを見ると、それも感じられます。ただ、金利低下により株価がさらに上昇するようだと、リスクオンから低金利の円は売られ易い傾向があるため、この点には注意が必要です。目先は120日移動平均線の位置する146円35銭前後と、その下の200日移動平均線の143円70銭辺りが次のターゲットになろうかと思います。

 都合1週間の停戦期間を終えイスラエルは再びパレスチナ自治区ガザで、今度は南部への大規模な空爆を開始しました。すでに200人を超える死者も出た模様で、イスラエルはガザ地区南部にハマスの指導者らが潜伏していることを理由にしているようです。オースティン国防長官は2日、パレスチナ自治区ガザでの民間人の犠牲者拡大について、「イスラエルが警告に耳を傾けなければ、イスラム組織ハマスと再開した戦闘で『戦略的敗北』を喫する危険がある」と述べています。欧米の強い警告にも屈しないイスラエル。米国もこれまでの「過保護」を止め、さらに強い姿勢で臨まないと、バイデン政権そのものが危機にさらされる可能性もあり、2024年度の大統領選でも「再選はほぼ不可能になるリスク」もあります。

 本日のドル円は145円50銭~147円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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