(米国)米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録

次回の発表日時:2024-05-23 03:00:00

FOMC(米連邦公開市場委員会)の議事録として政策決定日の3週間後に公表する。金融政策の変更もしくは現状維持にどのような議論が交わされたかが記録されている。政策金利が引き上げられても今後の引き上げに消極的な議論が交わされていれば、実際のFOMCよりも相場に影響を与えかねない。なお、この議事録は要旨であり、詳細を含めた全記録は5年後に公開される。

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  • 2024-04-11 10:48:01

    FOMC議事録、国債減額上限を月300億ドルに半減を支持

    <チェックポイント>
    ●議事録、利下げ開始に必要なインフレ低下の十分な確証得られずと判断
     
    ●議事録、雇用市場が悪化した場合、金融緩和の可能性を示唆
     
    ●議事録、多くの委員がバランスシートの縮小で慎重なアプローチを支持
     
     
     
     
     FRB(米連邦準備制度理事会)は10日に公表した3月19-20日開催分のFOMC(公開市場委員会)議事録で、利下げサイクル開始のタイミングを測るため、インフレ低下の確証を探したが、十分な確証が得られなかったことが分かった。
     
     議事録では、「委員らは、ここ数カ月の経済指標が米経済の強さを示し、インフレ率についても失望するようなデータしか得られなかったと指摘した上で、インフレ率が物価目標の2%上昇に向けて持続的に収束しているという、さらなる確信が得られるまで政策金利を引き下げることは適切ではないと判断した」とし、現在の金融引き締め政策ではインフレが抑制されるほど、まだ十分に景気が冷え込んでいないことへの焦りや失望感が示された。
     
     市場では今回の議事録の公表にあたって、FOMC内で米国経済とインフレの状況、利下げのタイミングとペースを決定する際、これらの動きをどのように見ているのか、さらには過去の量的金融緩和(QE)措置により、7兆5000億ドルに膨らんだFRBのバランスシートの縮小について、どんな議論が行われたかに注目していた。
     
     FRBは政策決定について議論する中で、インフレが物価目標に向かって低下するという確信が持てなかったとした理由について、経済とインフレの両方の見通しに不確実性があることを挙げている。議事録では、「委員らは総じて、高インフレが(いつまで)持続する見通しが不透明なため、最近のデータを見てもインフレが持続的に2%上昇(物価目標)に低下するという確信が高まらない」とし、また、「複数の委員は(中東紛争などの)地政学的リスクで、より深刻なサプライチェーンのボトルネック(制約による品不足)や輸送コストの上昇が起こり、インフレ圧力が高まる可能性がある。その一方で、こうした状況が経済成長を抑制する可能性もある」とし、外的要因により経済とインフレの不確実性が高まっていると指摘している。
     
     また、一部の委員はこれまでの制限的な金融引き締めの効果についても不確実性があると指摘している。議事録では、「制限的な金融政策には不確実性がある。思ったほど制限的でないか、または制限的にならない場合、経済の総需要が高まり、ひいてはインフレ圧力を高める可能性がある」と指摘している。制限的とは景気に打撃を与えることになる金利水準にまで、金融引き締めを行うことを意味する。
     
     ただ、FRBは金利据え置き決定の次は経済データが許せば、利下げになるとの認識を示している。議事録では、「委員らは政策金利が今回の引き締めサイクルでピークに達する可能性が高いと判断し、経済が全体的に予測通りに進展すれば、今年のある時点で政策を緩和スタンスに移行するのが適切だとほぼ全員が判断した」としている。
     
     さらに、議事録では、経済やインフレの見通しの不確実性が解消されない場合、今回の金利据え置きによる金融引き締めスタンスが長期化する可能性があると指摘する一方で、経済、特に、雇用市場が悪化した場合、金融緩和の可能性があることも示した。議事録は、「委員らは、金融政策は経済の今後の動向や経済見通しに対するリスクに対応できる態勢にあると判断している」とした上で、「ディスインフレのプロセス(インフレの低下基調)が鈍くなった場合、現在の制限的な金融政策スタンスを長期間維持する可能性や、雇用市場が予想外に悪化した場合、制限的な金融政策を縮小(金融緩和)する可能性も含まれる」と指摘している。
     
     また、議事録では現在、量的金融緩和(QE)からの出口戦略として実施している国債・MBS(不動産担保証券)買い取り減額(バランスシートの縮小)ペースについて、さらなるバランスシートの縮小に向けては慎重なアプローチを支持していることが分かった。FRBは現在、買い取りの減額ペースについて、国債の毎月の減額上限は600億ドル、エージェンシー(政府機関ジニーメイと政府系住宅金融会社)MBSの毎月の減額上限は350億ドルとしているが、MBSは減額上限を現状維持とし、国債の減額上限を半分の300億ドルにすべきと考えている。
     
    <関連銘柄>
     NASD投信<1545>、NYダウ投信<1546>、上場米国<1547>、
     SPD500<1557>、NYダウ<1679>、NYダウブル<2040>、
     NYダウベア<2041>
     

  • 2024-02-22 09:06:01

    FOMC議事録、早期利下げによるインフレリスクを警戒―早期利下げに否定的

    <チェックポイント>
    ●インフレ率2%上昇に向かっているか確信できるまで利下げは適切でないと
     
    ●「需要の勢いが思ったより強い」とインフレリスク強調
     
    ●次回会合ではバランスシートも議論と
     
     
     
     
     FRB(米連邦準備制度理事会)は21日に公表した、1月30-31日開催分のFOMC(公開市場委員会)議事録で、早期利下げサイクル開始の可能性について、インフレ上ブレリスクを強く警戒した上で、大半の委員は利下げのペースが遅すぎることよりも、利下げが早すぎることへの懸念を示していることが分かった。
     
     議事録によると、大半の委員はインフレ率が前年比2%上昇まで持続的に低下しているか慎重に判断する重要性を強調。「委員らは総じて、インフレ率が2%上昇に向けて持続的に推移しているという確信がさらに高まるまで、利下げするのは適切ではないとの見方を示した」とし、早期利下げに慎重な見方を示している。
     
     ただ、2人の委員は利下げを見送ることが景気の下ブレリスクを高めると指摘しており、少数ながら遅すぎる利下げが景気を悪化させるとの懸念も示された。
     
     また、インフレ上ブレリスクは低下しているとしつつも、「一部の委員からは、特に総需要が強まるか、または供給サイド(サプライチェーン)の回復が予想以上に遅れた場合、物価安定の進展が停滞するリスクが指摘された」としている。
     
     景気見通しの不確実性も議論された。「前年の個人消費が驚くほどの回復力を示したことを考慮すると、総需要の勢いが現在評価されているよりも強い可能性がある」とし、その上で、「数人の委員は、インフレ抑制を遅らせる可能性があると指摘」。また、地政学的な要因によるサプライチェーンの混乱の可能性や賃金上昇率が高止まりする可能性などインフレの上ブレリスクにも懸念を示したとしている。
     
     バランスシートの縮小については、そのペースについて検討する必要があるとの意見が多かったという。FRBは量的金融緩和(QE)からの出口戦略として国債・MBS(不動産担保証券)の買い取りを減額(バランスシートの縮小)しているが、議事録では「多くの委員は、買い取り減額のペースを遅らせるための最終決定を行うため、次回の会合でバランスシートの問題について徹底的な議論を開始することが適切だ」としている。
     
     FRBは現在、減額ペースについて、国債の毎月の減額上限は600億ドル、エージェンシー(政府機関ジニーメイと政府系住宅金融会社)MBSの毎月の減額上限は350億ドルとしている。
     
    <関連銘柄>
     NASD投信<1545>、NYダウ投信<1546>、上場米国<1547>、
     SPD500<1557>、NYダウ<1679>、NYダウブル<2040>、
     NYダウベア<2041>
     

  • 2024-01-04 09:12:01

    FOMC議事録、早期利下げに慎重な姿勢―年内利下げは適切との考え

    <チェックポイント>
    ●予想より長期に政策金利維持の可能性

    ●利上げが必要になる可能性も否定せず

    ●市場、バランスシート縮小は8-9カ月後にいったん終了と予想




     FRB(米連邦準備制度理事会)は3日に公表した、23年12月12-13日開催分のFOMC(公開市場委員会)議事録で、今後の政策金利の水準について、「複数の委員が予想よりも長期間にわたって政策金利を維持することが正当化される可能性がある」とし、早期の利下げに慎重であることが分かった。

     ほぼすべての委員が「24年末までに政策金利を引き下げることが適切」と考えており、年内利下げの可能性を示したが、一方で、「利上げが適切となるような形で経済が進展する可能性がある」とし、必ずしも利上げ再開の可能性を排除していないことも明らかになった。

     議事録では、多くの委員が「慎重かつデータに依存したアプローチを維持することの重要性を強調、インフレ率が物価目標に向かって明らかに持続的に低下するまで、政策はしばらく抑制的スタンスを維持することが適切であることを再確認した」としている。

     利下げの必要性については、「制限的な金融政策スタンスをどれくらいの期間維持する必要があるかについての不確実性を強調、過度な制限的なスタンスに伴う景気下ブレリスクを指摘した」とし、ある程度の金融緩和の必要性を指摘している。

     このほかでは、FRBが保有する国債などのバランスシートの縮小について、「複数の委員が満期を迎えた保有国債などのランオフ(満期償還金による再投資(買いオペ)の減額または停止)のペースを遅らせる決定を下す前に、そのことについて議論を始める時期が来た」としている。

     FRBは量的金融緩和(QE)で膨らんだバランスシートの減額開始を進めており、現在は約7兆7000億ドルとなっている。現在、国債の毎月の減額上限を600億ドル、エージェンシー(政府機関ジニーメイと政府系住宅金融会社)MBSの毎月の減額上限を350億ドルとし、1-2回分の利上げに相当するとみられている。

     市場では、FRBがバランスシートを6兆2000億ドル程度にまで減額するとみており、月950億ドルの減額ペースだと、今後8-9カ月で減額を終了させると予想している。

    <関連銘柄>
     NASD投信<1545>、NYダウ投信<1546>、上場米国<1547>、
     SPD500<1557>、NYダウ<1679>、NYダウブル<2040>、
     NYダウベア<2041>

  • 2023-11-22 09:39:01

    FOMC議事録、当分の間、金利据え置きの必要性で一致

    <チェックポイント>
    ●「すべての委員はしばらく抑制的な金融スタンスの維持が適切と判断」

    ●「多くの委員は景気の下ブレリスクは依然、残っていると主張」

    ●今後数カ月以内にあと1回の利上げが行われると予想
     
     
     
     
     FRB(米連邦準備制度理事会)が21日に公表した、10月31日-11月1日開催分のFOMC(公開市場委員会)議事録では、「金融政策の議論を進めた結果、すべての委員はインフレ率が物価目標の前年比2%上昇に向かって明らかに持続的に低下するまで、金融政策はしばらく抑制的なスタンス(景気に打撃を与えることになる政策金利の水準)を維持することが適切であると判断した」とし、当分の間、金融政策を制限的に維持する考えで一致していることが分かった。

     しかし、その一方で、議事録では今後の政策決定に影響を与える可能性について、「委員らは総じて金融政策のスタンスが制限的な領域にあることにより、物価目標の達成に対するリスクは一層、(インフレ率の上ブレと下ブレの)両面的なものになったと判断した」とし、制限的な金融政策スタンスが景気を冷やしすぎることへの懸念を示していることも明らかになった。議事録では、「景気下ブレリスクには信用ひっ迫や商業用不動産の低迷、世界の石油市場の混乱の可能性が含まれる」としている。

     また、議事録では、「多くの委員は米経済は回復力があり、雇用市場は好調が続いているものの、景気の下ブレリスクは依然として残っていると主張した」とし、その上で、「こうしたリスクには金融や信用のひっ迫が総需要や銀行、企業、家計に予想よりも大きな影響を及ぼす可能性がある」とし、過去の累積的な利上げや賃上げを巡る自動車労組の長期スト、世界景気の後退、商業用不動産の低迷などが時間差を置いて経済に打撃を与えるリスクへの警戒感を強めている。最近でもFRBのリサ・クック理事は先週の講演で、「低所得世帯や中小企業、住宅業界について、財政的な困窮の兆候がないか注視している」と述べている

     だが、議事録では、「インフレ率が依然として物価目標を大幅に上回っており、雇用市場も引き続きひっ迫していることから、大半の委員はインフレの上ブレリスクを引き続き認識している」と結論付け、当分の間、インフレ抑制を優先したい考えを示している。前回11月会合後の会見で、ジェローム・パウエル議長も金融政策が制限的に十分に引き締められていないことを強調している。

     また、議事録では、「大半の委員は今後の経済指標が物価目標の達成に向けた進ちょくが不十分であることを示している場合、追加利上げが適切と主張した」としている。背景にはインフレの上ブレリスクは経済活動の勢いが続いているため、ディスインフレの進行が停滞するか、インフレが再加速するという懸念がある。その上で、議事録では大半の委員はインフレ抑制に失敗するリスクの方がより大きな問題だ、と指摘、景気後退よりもインフレ抑制を重視している。

     FRB事務局では米10-12月期GDP伸び率の見通しについて、「7-9月期の速報値である前期比年率換算約5%増から著しく鈍化する」と予想しているものの、短期的にはリセッション(景気失速)に陥るとは見ていない。

     FOMC委員の最新予測では、今後数カ月以内にあと1回の利上げが行われると予想されている。市場ではFRBは利上げサイクルを終了し、早ければ24年1ー3月期にも利下げに転換すると見ている。

    <関連銘柄>
     NASD投信<1545>、NYダウ投信<1546>、上場米国<1547>、
     SPD500<1557>、NYダウ<1679>、NYダウブル<2040>、
     NYダウベア<2041>

    提供:ウエルスアドバイザー社 

  • 2023-10-12 09:12:01

    FOMC議事録、大半の委員があと1回の利上げ適切と判断

    <チェックポイント>
    ●一部は据え置きを支持―「会合ごとに慎重に行うことで一致」
     
    ●先行きの不確実性高いとし、過度な利上げにも慎重な姿勢
     
    ●金融引き締めサイクル終了後もバランスシート縮小の継続を確認
     
     
     
     
     FRB(米連邦準備制度理事会)が11日に公表した、9月19-20日開催分のFOMC(公開市場委員会)議事録では、多くの委員が今後の会合で政策金利をあと1回引き上げることが適切と判断していたことが分かった。ただ、一部の委員は据え置きを支持する考えを示しており、全体の結論としては、「会合ごとに新たなデータと、それが経済見通しに与える影響やリスクのバランスに基づいて慎重に行うことで意見が一致した」とし、金融政策については会合ごとに慎重なアプローチで進める考えを強調した。
     
     また、インフレが物価目標に向かって持続的に低下していると確信するまで、しばらくは制限的な政策を維持すべきとの意見で一致しており、追加利上げか、現在の金利水準を据え置くことにより、制限的な金融引き締め政策の持続の必要性を指摘している。
     
     複数の委員は、政策金利がピークかそれに近い水準にある可能性が高いことを考慮し、金融政策の決定と市場との対話の焦点は政策金利をどの程度まで引き上げるかという視点から政策金利を抑制的な水準にどれくらいの期間維持するかに転換すべきだと主張している。また、「少数の委員は、しばらくの間、金融政策のスタンスを測る上で政策金利であるフェデラル・ファンド金利の実質金利の動向を注視することが重要であると指摘した」としている。
     
     すべての委員が金融政策の制限的なスタンスの維持で意見が一致したのは、FRBに金融政策の進捗状況を評価する時間が与えられ、物価目標の達成に向けてさらなる進展がもたらされる可能性が高いとの考えが背景にある。
     
     一方、「大多数の委員は引き続き、経済の先行きについては不確実性が高いとの判断を示した」とし、過度の利上げに対しては慎重な姿勢を示している。強い雇用市場にもかかわらず、経済活動の下ブレリスクや失業率の上ブレリスクが引き続き存在するとし、労働組合のスト長期化や世界景気の後退など経済見通しに対するリスクを考慮し、適切な追加利上げの程度を慎重に判断する必要性を強調した。
     
     バランスシートの規模縮小については、「保有債券を削減するプロセスを継続することがマクロ経済の目標達成で重要であると判断」し、規模縮小の期間についても、利下げを開始したあとも、しばらくは国債のロールオーバー(持ち越し)をしないとし、利下げ後もバランスシートの規模縮小を継続すべきとしている。
     
    <関連銘柄>
     NASD投信<1545>、NYダウ投信<1546>、上場米国<1547>、
     SPD500<1557>、NYダウ<1679>、NYダウブル<2040>、
     NYダウベア<2041>
     

  • 2023-08-17 09:21:01

    FOMC議事録、大半の委員がインフレの上ブレリスクを認識

    <チェックポイント>
    ●大半の委員が追加利上げ必要となる可能性があるとの見解示す
     
    ●インフレの上ブレや雇用市場のひっ迫を警戒
     
    ●少数の委員は信用不安を背景に利上げサイクルの終了を支持
     
     
     
     
     FRB(米連邦準備制度理事会)が16日に公表した7月25-26日開催分のFOMC(公開市場委員会)議事録で、多くの委員がインフレ上ブレリスクを認識し、さらなる引き締め(追加利上げ)が必要となる可能性があるとの見解が示された。一方、少数の委員は利上げサイクルを終了させる考えを支持していたことが分かった。
     
     議事録によると、「累積的な引き締め(利上げ)が予想よりも急激な景気減速につながる可能性や、銀行の信用状況のひっ迫により景気が悪化する可能性についても検討した」とし、その上で、「大半の委員は、インフレ率が依然としてFRBの長期の物価目標(2%上昇)を大幅に上回っており、雇用市場が引き続きひっ迫しているため、インフレに対する重大な上ブレリスクを認識、さらなる金融政策の引き締めが必要になる可能性がある」と指摘し、インフレについて懸念を示し、状況が変わらない限り、将来的に追加利上げが必要と判断していることが分かった。
     
     その一方で、一部の委員はこれまでの利上げが経済に悪影響を与える可能性も指摘。「委員会の決定が不用意かつ過度な引き締めリスクと不十分な引き締めによってもたらされるコストのバランスを取ることが重要と判断した」としており、ハト派的な慎重さが見え始めている。
     
     また、少数委員が利上げサイクルの終了を支持しており、その理由として3月の金融危機に端を発した信用ひっ迫も背景にあるとした。議事録によると、「米国の銀行システムが健全で回復力があるとしたが、家計や企業の信用状況がさらに厳しくなれば、経済や雇用、インフレの重しとなる可能性が高い」と懸念を示している。
     
     FRBのバランスシートの規模縮小については、すべての委員が保有債券を削減するプロセスを継続することが適切であることで一致したとした上で、規模縮小の期間については、利下げが始まったあともバランスシートの規模縮小を継続すべきとしている。
     

  • 2023-07-06 10:09:01

    FOMC議事録、利上げ一時休止後も追加利上げの必要性を指摘(2)

     FRB(米連邦準備制度理事会)が6月会合で金利据え置きを決めた1つの要因であるインフレの現状認識について、議事録では、「委員はインフレが容認できないほど高いことで意見が一致した。5月のCPI(消費者物価指数)を含め、インフレの低下ペースが予想よりも緩やかなことを指摘した」と、懸念を示す一方で、「少数の委員は(家賃などの)住宅サービス価格は最近、緩やかになっているものの、住宅在庫の記録的な不足状況や依然堅調な住宅購入需要、新規テナントの賃料上昇などを考慮すると、住宅サービス価格インフレの見通しには上ブレリスクがある」と警戒感を強めていることも分かった。

     また、インフレ期待の見通しについて、議事録では、「一部の委員は予想を上回る堅調な消費需要と依然、タイトな雇用市場を考慮すると、長期的なインフレ期待が抑制されなくなる可能性がある」と指摘、堅調な雇用市場と消費需要がインフレ期待を抑制することができないとの見方も示された。

     その上で、議事録では、「過去1年間、インフレ率の全体指数は緩やかになったが、コア指数は年初から持続的な緩和を示していない。委員は総供給と総需要のバランスを改善し、インフレを抑制するには、実質GDP(国内総生産)の成長率がトレンド(潜在成長率)を下回り、労働市場の状況がある程度軟化する期間が必要になると考える」とし、さらなる金融引き締めが必要との認識で一致した。

     FRBは6月会合で金利据え置きを決めたもう一つの根拠として、3月に起きた銀行危機による信用ひっ迫を挙げたが、議事録では、「委員は米国の銀行システムは家計や企業の信用状況が厳しくなり、経済活動、雇用、インフレに重しとなる可能性が高い」と指摘、銀行危機による貸し出し条件の厳格化が進むことにより、景気が冷やされ、利上げに相当するインフレ抑制効果があることを強調したが、「これら(信用ひっ迫)の影響の程度が依然として不確実なため、引き続きインフレリスクに細心の注意を払っている」と、警戒感を示しており、次回7月会合での追加利上げの可能性を明確に否定していない。

     また、議事録ではニューヨーク連銀のオープン・マーケット・トレーディング・デスクによるプライマリーディーラーと市場参加者への調査結果を示している。それによると、「大多数が今回の会合では金利変更はないと予想。コンセンサス予想では24年初めまで金利変更がないことを示しているが、今後の会合で追加引き締めが行われる可能性が明らかだと見ている」とし、7月会合以降での追加利上げを予想している。

    提供:ウエルスアドバイザー社 

  • 2023-07-06 10:06:01

    FOMC議事録、利上げ一時休止後も追加利上げの必要性を指摘(1)

    <チェックポイント>
    ●議事録、「物価目標の達成には制限的な金融政策スタンスの維持が適切」

    ●議事録、「ほぼ全委員が経済予測で23年中の追加利上げが適切と判断」

    ●議事録、「一部の委員は6月会合で0.25ポイントの利上げを支持」




     FRB(米連邦準備制度理事会)が5日公表した、FOMC(公開市場委員会)議事録(6月13-14日開催分)で、6月会合では金利据え置機決定は全員一致ではなく、据え置きか利上げ継続かで委員の意見が割れていたことが分かった。

     議事録では、「大半の委員は、今回の6月会合で金利を変更しないことにより、雇用の最大化と物価安定というFRBの目標達成に向け、経済の動向を評価する時間がより多く得られると判断した」としたが、その一方で、「一部の委員は、今回の会合で0.25ポイントの金利引き上げに賛成、またはそのような提案を支持できると述べた」とし、意見が割れたことを示している。

     議事録では0.25ポイントの利上げを支持した委員はその根拠について、「雇用市場が依然として非常にタイトであること、経済活動の勢いが従来の予想より強いこと、インフレ率が物価目標の2%上昇に戻る軌道に乗っている明確な兆候がほとんどないことを指摘した」としている。

     また、議事録は、「すべての委員はインフレ率が依然、FRBの物価目標の2%上昇を大きく上回り、雇用市場が引き続き非常にタイトであることから、物価目標を達成するには制限的な金融政策スタンスを維持することが適切と考える」とし、その上で、「ほぼ全員が経済予測の中で、23年中に追加利上げが適切であると判断していると指摘した」とし、追加利上げの必要性でほぼ意見が一致していたことも分かった。制限的なスタンスとは、政策金利を中立金利(2.5%)以上に引き上げた場合、経済成長を抑えることになる「制限的な領域」に入ることを意味する。

     6月会合で発表された最新の経済予測によると、政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標の見通し(政策金利のレンジ予想の中心値)は23年が5.6%(前回予測は5.1%)と、23年の金利のピークが0.5ポイント引き上げられた。市場ではFRBは今後の追加利上げの可能性を示し、0.5ポイントであと1回、0.25ポイントであと2回の追加利上げを意味すると見ている。24年は4.6%(同4.3%)、25年は3.4%(同3.1%)と、24年から利下げに転換すると予想している。

     パウエルFRB議長も前週(6月28日)、米国で開催されたECB(欧州中央銀行)年次フォーラムで、「FOMC委員の大多数が2回以上の利上げを予想、しかも連続利上げの可能性は排除しない」と述べている。今回の議事録も次回7月25-26日会合での利上げ予想を強めるものとなっている。市場でもFRBはしばらくタカ派にシフトし続けると見ており、金利先物市場では7月の0.25ポイントの利上げ確率を88.7%織り込んだ。

    提供:ウエルスアドバイザー社 

  • 2023-05-25 09:21:01

    FOMC議事録、金融政策の道筋が不透明であることが浮き彫りに

    <チェックポイント>
    ●今後どの程度の金融引き締めが適切か不確実
     
    ●金融システム不安によるインフレ抑制効果が不透明と
     
    ●6月会合でも「利上げサイクル停止」か「利上げ継続」か議論
     
     
     
     
     FRB(米連邦準備制度理事会)が24日に公表した2-3日開催分のFOMC(公開市場委員会)議事録で、今後の金融政策の道筋が不透明であることが浮き彫りになった。
     
     議事録では、米金融システム不安を含めてさまざまな条件を考慮した今後の金融政策についての議論で、インフレ率を物価目標の2%上昇に戻すために追加の利上げが必要と主張する委員と、経済が現在の予測通りに進めば追加の利上げは不要と指摘する委員がおり、「全体として、どの程度の政策引き締めが適切になるのかについては不確実性があるとした」とした。
     
     FRBは、銀行危機のインフレ抑制効果や、これまでの利上げの影響が景気とインフレに及ぶまでのタイムラグ(時間差)を考慮すると、利上げサイクルが終了したとの感触を強めているものの、利上げはもう十分なのか、または、今後も数カ月利上げが必要なのか自信を持てず、選択肢を残さざるを得ない状況となっているようだ。
     
     3月のシリコンバレー銀行の経営破たんを発端とする金融システム不安については、ほとんどの委員が銀行セクターの動向がさらなる信用状況の引き締めにつながり、経済活動の重しとなる可能性があると判断している。金融機関による融資基準の厳格化、インフレ抑制の可能性も指摘しているが、政府の対応などを背景に、「信用へのアクセス(借り入れ意欲)は大幅に低下していない」とし、銀行危機のインフレ抑制効果は不透明と見ていることも分かった。
     
     議事録では、「銀行システムは健全で回復力があり、FRBと政府機関が連携して講じた措置が銀行セクターの状況を落ち着かせるのに役立っている」としたものの、「委員はマネーマーケットファンド(短期金融資産投資信託)やヘッジファンドなど一部のノンバンク金融機関が経営破綻や不安定化の可能性がある」と指摘している。
     
     今回の議事録を見る限り、次回6月会合でも利上げを一時停止してこれまでの利上げ効果を見極めるのか、それとも利上げを継続するのかの2つの選択肢について議論が続く可能性を示しており、金融政策の不確実性が増したといえる。
     
     実際、FRBは5月のFOMC後に発表した声明文で、「適切な金融政策スタンスを検討する際、経済見通しに対する影響を引き続き監視し、FRBの使命(物価の安定と雇用の最大化)の達成を妨げる可能性のあるリスクが発生した場合、金融政策スタンスを適切に調整する用意がある」との文言を残している。
     
     その上で、FRBは「雇用市場の状況やインフレ圧力、インフレ期待、金融と国際情勢など幅広い情報を考慮する」とした。また、パウエル議長は会合後の会見で、「利上げサイクルの一時停止決定は、会合ごとに収集される経済データに基づいて行われる」と、釘をさしている。
     
     今回の議事録でも「委員は概して、入ってくる情報とそれが経済見通しに与える影響を注意深く監視することの重要性を指摘した」とした。
     

  • 2023-04-13 15:33:01

    FOMC議事録、銀行危機が景気と雇用、インフレを抑制と判断

    <チェックポイント>
    ●「米銀行システムは健全で回復力がある」と指摘
     
    ●複数の委員が銀行危機により利上げサイクルの一時休止を検討
     
    ●FOMC事務局、「銀行危機により23年後半に緩やかなリセッション」を予想
     
     
     
     
     FRB(米連邦準備制度理事会)が12日に公表した、3月21-22日開催分のFOMC(公開市場委員会)議事録では、米シリコンバレー銀行の経営破たんに端を発した銀行危機が米景気を鈍化させ、雇用やインフレも抑制するとの認識で意見が一致していたことが分かった。
     
     議事録では、金融システム不安に対し、家計部門や企業を取り巻く信用状況を引き締め、経済活動や雇用、インフレを抑制する可能性が高い」とし、銀行危機が経済やインフレに悪影響を与えるとの認識で一致したとしている。一方、
     
     こうした中でも0.25ポイントの利上げに踏み切ったことについて、銀行危機の影響は不透明としつつ、「米国の銀行システムが引き続き健全で回復力があることを確認できた」と指摘。金融不安の拡大は限定的とみており、「インフレ率を物価目標の2%上昇に戻すという強いコミットメントを再確認した」とインフレ抑制を優先し、利上げを決めたとしている。
     
     一方、銀行危機の企業への悪影響も懸念しており、銀行危機による景気後退懸念を考慮し、数人の委員が利上げサイクルの一時休止を検討し、今回の会合で政策金利を据え置くことが適切かどうか検討したと指摘。据え置くことにより、最近の銀行セクターの動向とこれまでの累積的な金融引き締めの金融・経済への影響を判断するために多くの時間を与えると主張している。
     
     また、FOMC事務当局が銀行危機の影響により今年後半にリセッション(景気低迷)に陥るリスクが高いことを委員らに説明している。議事録では、「最近の銀行セクターの動向による潜在的な経済的影響を考えると、スタッフの予測には今年後半から穏やかなリセッションが始まる」としている。
     
     ただ、「信用の引き締めが経済活動やインフレに及ぼす影響の大きさを評価するのは時期尚早であり、引き続き動向を注視することが重要だ」とし、今後の動向を見守りたい考え。
     
     他方、インフレの現状認識については、「インフレ率が長期の物価目標を依然として大きく上回っており、インフレ率が容認できないほど高いことで意見が一致した」とし、その上で、「最近のインフレ指標はディスインフレ(物価上昇率の低下)の進展が予想よりも遅い。雇用市場のひっ迫を緩和し、名目賃金の伸びを鈍化させることが、持続的なディスインフレに必要と判断した」とし、利上げ決定の正当性を強調している。
     
     また、数人の委員は長期的なインフレ期待が安定していることの重要性を指摘。議事録では、「インフレ率の上昇が長引くほど、インフレ期待が安定しないリスクが高まる」と主張している。
     
     一方、銀行危機がインフレ抑制につながるとの見方については、「その効果の大きさが非常に不確実と見ている」とした。
     

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