東京都「長期戦略ビジョン」の関連銘柄を探る、無電柱化や豪雨防災に商機

株式

2019/12/30 8:20

 東京都は27日に公表した30年までの長期戦略ビジョンに、環状7号線内側区域の無電柱化や、中小河川での「調節池」の整備を盛り込んだ。また、都内を走るすべての自動車を、電気自動車(EV)などの排ガスゼロ車(ZEV)にすることを、50年に目指すべき姿として示した。

<環状7号線内の電線埋設、イトーヨーギョーや戸上電機>

 都はこれまでに、都心の8キロメートル外周をつなぐ首都高中央環状線の内側の都道の97%で無電柱化を完了した。環状7号線は23区内の環状道路としては最も外側に位置し、取り巻く面積も広い。電線の埋設エリア拡大へ向けて、新たに「無電柱化加速化戦略(仮)」を策定するという。

 このテーマに反応しやすい銘柄は、時価総額の小さいイトーヨーギョー<5287.T>と大盛工業<1844.T>の東証2部2銘柄。前者は無電柱化の際に電力ケーブルを配線する小型ボックスなどを手掛け、後者は地中工事を得意とすることから連想が働きやすい。

 そして中穴的な存在が、配電制御器の戸上電機製作所<6643.T>だ。電気設備を保護する開閉器のニーズが無電柱化に絡み拡大しているが、都による整備の加速で事業環境には一段と追い風が強まる。

<水害対策は調節池倍増、ライト工業に実績>

 一方、多発する集中豪雨による水害を防ぐため、川が増水した際に水を一時的にためる調節池を倍増させる計画だ。完工済みの12河川256万立方メートルに加え、工事に着手している104立方メートルと新たに事業化する150万立方メートルを合わせて、510万立方メートルを整備する。

 調節池の拡充は多くのゼネコンにとって商機となる。ここでは東京都に本社があり、環状七号線地下調節池の地盤改良工事で実績のあるライト工業<1926.T>を狙いたい。また、工事に使用するシールド掘削機で東京産業<8070.T>や鉱研工業<6297.T>も浮上する。

<EVバス関連はWスコープや昭和飛、水素で宮入バルも>

 ZEV化は、小池都知事が打ち出した「気候危機行動宣言」で掲げた政策。EVや燃料電池車(FCV)の普及促進が柱。30年までには、自治体が導入する小型路線バスの新車がZEVになるよう支援するほか、都内で300台以上のEVバスの導入を目指す。

 こちらも関連銘柄は多岐にわたる。中・小型株では、リチウムイオン電池用セパレーターのダブル・スコープ(Wスコープ)<6619.T>、FCVに絡んで液体水素用バルブを手掛ける宮入バルブ製作所<6495.T>、循環バス向けにワイヤレス給電システムの導入を狙う昭和飛行機工業<7404.T>などに注目したい。

提供:モーニングスター社

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