<年末年始特集>テーマで斬るアセアン株(2)
2019/12/30 18:06
<タイ、再生可能エネルギーへシフト>
タイでは、再生可能エネルギーへのシフトが加速している。主要な一次エネルギー(天然ガスなど)の枯渇懸念を背景に、タイ政府は、近年、エネルギー源の多様化を推進してきた。タイの発電所はその約6割が天然ガスに依存しているという。
タイで注目されている再生可能エネルギーが太陽光。「2020年より住宅屋根用の太陽光パネル発電入札が開始される予定で、市場の注目度が高まっている」(笹木氏)。中心銘柄は、ラチャブリ・グループ。タイ国内ではIPP(独立系発電事業者)とSPP(小規模発電事業者)として熱発電設備からなる発電所を運営、「スマートホーム」、「エネルギーのインターネット」、「光ファイバーネットワーク・ソリューション」を通じて、IoT(モノのインターネット)のブロードバンド接続の足掛かりを掴む成長戦略を示す。同社はタイ国内だけでなく、オーストラリアでも太陽光、風力発電のプロジェクトが好調に推移している。
<訪問観光客増のタイとマレーシア>
ここ数年、訪問客が急増しているのがタイとマレーシアだ。インバウンドが叫ばれる日本も訪問客は多いが、タイはそれを優に上回っている。
こうしたインバウンドの増加に恩恵を受けるのが、「医療ツーリズム」だ。タイやマレーシアは「医療ツーリズム」先進国。欧米への留学経験を持つ質の高い医師・看護師が多く、英語でのコミュニケーションが出来ることから、国内だけでなく、海外からの医療ツーリズム先として海外の需要を獲得している。予防医療とリゾートの組み合わせが主流で、中国や中東などの富裕層の利用も多いという。タイ最大の民間病院運営会社であるバンコク・ドゥシット・メディカル・サービシズや新興国を中心に9カ国で約50の病院を運営するマレーシアのIHHヘルスケアは中心銘柄といえる。
また、訪問客の増加は、空港を運営するタイ航空公社や、消費関連銘柄にも好影響をもたらすだろう。
2020年もアセアン株式市場は米中を中心とした海外イベントに翻弄される展開が続きそうだ。特に、米国株の好調がリスクオンとみなされ、単純な新興国株式への資金流入につながりにくくなっている点には注意したい。その中で、今回はほんの一部ではあるが、アセアン株で有望とみられるテーマ関連銘柄を紹介してみた。2020年はこうした個別要因からの市場活性化に期待したい。
提供:モーニングスター社
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