<新興国eye>新型コロナ感染拡大によるベトナムへの影響は?―SSI証券の分析レポート

新興国

2020/2/13 9:38

 大和証券グループ本社<8601.T>が出資する、ベトナム仲介業務シェアトップの独立系証券会社であるSSI証券(SSI)のSSIリサーチはこのほど、中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスの感染拡大による業種への影響に関する分析レポートを発表した。

<打撃を受ける9業種>

 新型コロナウイルスの影響を受けるのは、航空、繊維・衣類、小売、水産、ビール、石油ガス、証券、港湾・海運、空港サービスの9業種。

 感染拡大対策の一環として、国内航空会社がベトナムと中国を結ぶ路線の運航を一時停止しており、航空業界は直接的な打撃を受けている。

 繊維・衣類では、原材料は主に中国からの輸入に頼っている。中国での繊維工場が閉鎖されたことで、ベトナム企業の生産が低迷する可能性がある。

 消費者が感染回避のため、外出や買い物を控えており、小売業が悪化する。一方、電子商取引(EC)や宅配などのサービス需要が増えると見られる。

 ビール業界は飲酒運転を規制するアルコール被害防止法(20年1月1日施行)による打撃を受けているが、さらに販売が落ち込む。

 水産物では、ベトナムにとって重要な輸出先である中国への輸出額は水産物の輸出額全体の16.5%、エビ輸出額の16.1%、チャ魚(パンガシウスの一種)輸出額の33%を占めている。中国の消費低迷がベトナム企業の対中輸出を減らす。

 このほか、証券市場では短期的に投資家心理に影響を及ぼしている。

<恩恵を受ける4業種・影響があまりない10業種>

 一方、需要増による恩恵を受けるのは、医薬、情報技術、電気、水道の4業種、影響があまりないのは、自動車、乳製品、住宅、工業団地、銀行、保険、建設、鉄鋼、セメント、肥料の10業種とした。

【筆者:Viet Economic Research&Advisory Corp.(VERAC)】

2002年ベトナム・ホーチミン市で創業。「ベトナム株・経済情報」「VIETJOベトナムニュース」、「VIETJOライフ」の自社媒体を通じ、経済、金融情報を中心に毎日数十本のベトナム関連記事を配信する。業界で唯一、全上場企業約760社の日本語企業データベースを保有。また調査可能な非上場企業のユニバースは70万社を誇る。10年超にわたり蓄積した情報とネットワークを駆使した企業信用調査に強み。

*当該記事は外部執筆者により作成されたものです。記事は執筆者が信頼できると判断したデータなどにより作成いたしましたが、その正確性などについて保証するものではありません。

提供:モーニングスター社

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