<新興国eye>インドネシア中銀、0.25ポイント利下げを決定―市場予想通り

新興国

2020/2/21 11:25

 インドネシア中央銀行(BI)は20日の理事会で、主要政策金利の1週間物リバースレポ金利を0.25ポイント引き下げ、4.75%とすることを決めた。市場予想通りだった。

 中銀は過剰流動性を吸収するための翌日物預金ファシリティー金利(FASBIレート)も4.00%、翌日物貸出ファシリティー金利も5.50%と、同率引き下げた。

 中銀は18年5月ごろから急速に進行したルピア安と国内からの資金流出の阻止を狙って、同5月から同11月までの6回、計1.75ポイントの利上げを実施した。その後は19年6月まで7会合連続で据え置いたが、同7月に17年9月以来となる利下げを実施し、同10月まで4会合連続で利下げした。前回1月会合まで3会合連続で現状維持としていたが、今回の利下げ決定は年明け初で、19年10月以来4カ月ぶりとなる。

 中銀は会合後に発表した声明文で、利下げを決めた理由について、中国で1月初めに発生した新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大が観光や貿易、経済成長、投資、コモディティ(国際相場商品)価格などに悪影響が及ぶとして、景気支援の必要性が高まったことを挙げている。

 また、「金融スタンスは金融緩和的だ」とした前回会合時の文言に、「金融政策はインフレを物価目標のレンジ内に抑制し、(輸出や観光などの)外部環境を安定させることと合致する」と追記。新たに、「(金融政策は)新型コロナウイルスの感染拡大により、世界景気の回復が抑制される可能性を考慮し、インドネシア経済の成長勢いを維持するための予防的措置としても合致する」との文言も付け加えた。

 今後の金融政策についても、「国内経済や世界経済の今後の成り行きを注視し、外部環境を安定させ、経済成長の勢いとインフレの抑制を維持するため、金融緩和的なポリシーミックス(複数の経済政策手段の一体運営)を講じる余地があるかどうか判断する」との文言を残し、引き続き利下げや金融規制の緩和策などの政策ミックスを進める考えを示している。

 景気の現状認識については前回会合同様、「堅調な個人消費や輸出環境の改善により、成長の勢いは強靭(resilient)となっている」とした。景気見通しについては、「国内経済の成長を刺激し、また、世界経済の回復が抑制される可能性がある中、国内経済の強靭性を確保するための措置が必要となっている」とした。その上で、20年のインドネシア経済の成長率見通しを5.1-5.5%増から5.0-5.4%増に下方修正。ただ、「21年には5.2-5.6%増に回復する」と予想している。19年の成長率は5.02%増と、18年の5.17%増を下回った。

 インフレの現状認識については、「1月のCPI(消費者物価指数)は前年比2.68%上昇となった。コアインフレ率も依然抑制されている」とし、インフレ率が引き続き物価目標(3.5%上昇±1%)の範囲内に抑制されているとした。その上で、「20年と21年のインフレ率を物価目標のレンジ(2-4%上昇)内に抑制するため、中央と地方の政府との政策協力を強めていく」とした。

 一方、過去の連続利上げの根拠となっていた通貨ルピア相場の下落懸念については、「ルピア相場は安定しており、2月19日時点の相場は1月以降の平均で0.27%高となっている」とした。その上で、今後のルピア相場の見通しについて、「ルピア相場は市場メカニズムと経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)に従って安定していく」と前回文言を据え置いた。

 次回の金融政策決定会合は3月18-19日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 アジア債券<1349.T>、iS新興国<1362.T>、上場EM債<1566.T>、

 iSエマジン<1582.T>、アセアン50<2043.T>

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