新型肺炎ショックでNYダウ1031ドル安、きょうの日本株相場は?―治療薬候補や感染対策株に活路

株式

2020/2/25 8:56

 新型コロナウイルス(写真は国立感染症研究所提供)が世界で猛威を振るっている。日本の3連休中に患者数が韓国で爆発的に増え800人を超えたほか、イタリアも200人を上回った。株式市場ではリスクオフの流れが加速し、24日のNYダウは前週末比1031ドル安と2年ぶりの下げ幅を記録。為替も再び円高に向かい、きょう25日の日本株にも激震が走りそうだ。

 日本は24日時点で、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗船者や検疫官、厚生労働省の職員、さらには中国・武漢からのチャーター便での帰国者を除いて16都道府県で138人の感染が確認された。学校の児童や教員にも広がる中、政府はきょうにも総合的な対策の基本方針を発表する予定だという。

 同ウイルスによる新型肺炎の終息のメドが立たないことで、もともと割高感のあった日本株は大幅な調整を迫られるおそれもある。シカゴ日経平均株価先物の円建て清算値は、21日の大阪取引所終値比1125円安の2万2165円。ADR(米国預託証券)は円換算値で、クラレ<3405.T>、日本郵船<9101.T>、ジェイエフイーホールディングス<5411.T>などが目立って急落している。

 ひとまず全面安が予想されるきょうの日本株相場だが、新型コロナウイルス対策の関連銘柄の一角などには逆行高の望みもある。PTS(私設市場)では、多人数の体温を同時に検知するサーモカメラを手掛けるザインエレクトロニクス<6769.T>や、テレワーク絡みのブイキューブ<3681.T>、防毒マスクの重松製作所<7980.T>などが上昇している。

<治療薬候補で富士フイルム HIV関連に免疫生物研究、スガイ化学>

 新型肺炎の治療をめぐっては、新型インフルエンザ薬の「アビガン」、エイズウイルス(HIV)向けの「カレトラ」が日本の一部の医療機関で患者に投与され始めたことが発表された。いまのところは観察研究の位置付けだが、これらが治療薬の候補になっているようだ。

 アビガンは、富士フイルムホールディングス<4901.T>の子会社である富士フイルム富山化学が開発した薬剤。新型コロナウイルスやインフルエンザのような「RNAウイルス」の増殖を抑える効果が期待される。富士フイルムの24日のADRは前週末の東京終値比で1.0%値下がりしているが、日経平均採用銘柄の中ではいち早く抵抗力を示す可能性がある。

 エイズ治療薬に関連しては、抗HIV抗体を手掛ける免疫生物研究所<4570.T>や、中間物のスガイ化学工業<4120.T>が市場で有力銘柄とみられている。また、CRO(医薬品開発業務受託機関)のWDBココ<7079.T>は、カレトラを製造する米製薬会社アッヴィの日本法人との取引実績がある。

<消毒はアルコール製剤のニイタカ 噴霧器の丸山製、やまびこも>

 消毒にも注目が集まる。ダイヤモンド・プリンセスの運航会社は船の消毒業者の募集を開始したほか、日本国内でも新型肺炎の患者が発生した学校や消防署で消毒が行われている。関連銘柄としては業務用アルコール製剤のニイタカ<4465.T>や、消毒事業を展開するサニックス<4651.T>、噴霧器の丸山製作所<6316.T>などが浮上する。

 また、丸山製と比べて時価総額が大きいためかこれまで株価反応が鈍いやまびこ<6250.T>も、消毒液を散布できる動噴を持ち、過去には鳥インフルエンザ向けにも使われた実績がある。国内で製造するほか、中国にも工場があり、現地の消毒ニーズもとらえる位置にいる。

 このほか、依然として品薄感の強いマスクの川本産業<3604.T>やシキボウ<3109.T>、紡績株のダイトウボウ<3202.T>、防護服のアゼアス<3161.T>、空気清浄機の日本エアーテック<6291.T>、消毒・除菌剤の中京医薬品<4558.T>やマナック<4364.T>などが新型肺炎対策の銘柄として知られる。

<「ランプ法」検査の栄研化は依然有力>

 栄研化学<4549.T>は感染症の検査を迅速に行う独自技術「ランプ法」を擁する。新型肺炎の拡大の原因の1つは検査体制のぜい弱さと考えられ、現在使われている「PCR法」よりも素早く簡易に感染の有無を確認できるランプ法の活躍余地は大きい。

 同社は2002-03年に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)ウイルス向けでも実績があり、新型コロナウイルス用の試薬も既に開発に乗り出している。これまで上値の重さが目立ったが、事態の深刻化で改めて存在感を強めそうだ。

提供:モーニングスター社

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