NYダウ、原油急反発受け3日ぶり上昇―サウジ・ロシアの減産協調観測が浮上、実現性には不透明感
2020/4/3 8:45
ニューヨーク原油先物相場が急上昇したことを受け、2日のNYダウは終盤にかけ水準を切り上げた。終値は前日比469ドル高の2万1413ドルと3日ぶりに反発した。きょう3日の東京株式市場では、これを手掛かりに買いが先行する展開が予想される。
<トランプ大統領発言、WTI先物3割高に>
トランプ米大統領は2日に、産油国のサウジアラビアとロシアが日量1000万バレル規模の減産を近く合意するだろうと発言した。サウジのムハンマド皇太子、ロシアのプーチン大統領とそれぞれ電話で協議したという。原油価格はサウジなどOPEC(石油輸出国機構)と、ロシアの間の減産交渉の決裂をきっかけに暴落した。増産に動いていた両国が改めて協調減産に合意すれば、需給が大きく改善するとの見方から、この日のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物は一時前日比で約3割上昇した。
米労働省が2日に発表した失業保険の新規申請件数(3月28日までの1週間、季節調整済み)は665万件となり、新型コロナウイルスの感染拡大によって過去最高レベルに膨らんでいた前週(330万件)からさらに倍化した。景気悪化への警戒感からマイナス圏で推移していたNYダウだが、原油価格の持ち直しを手掛かりに反騰した格好だ。
一方、産油国の増産は「『米シェール業界つぶし』の色彩が濃い」(フジトミの米倉教公投資サービス事業本部アナリスト)。このため、米経済を支援したいトランプ大統領の思惑通りにサウジとロシアが本当に動くのかは依然として不透明だ。原油安を背景に、前日には米シェールオイル生産のホワイティング・ペトロリアムが経営破たんしている。また、EIA(米エネルギー情報局)が1日に発表した原油在庫の週間統計は2016年以来の高水準を記録するなど、需要の面でも原油相場には不安材料が大きい。
<日経平均、買い先行から値を消す展開も>
3日の東京株式市場では、NYダウの余勢を駆って日経平均株価が上昇して始まりそうだ。米シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の日経平均株価先物の生産値は1万8080円(2日の大証終値比220円高)と、2日の日経平均終値(1万7818円)を上回る。ただ、新型コロナの感染拡大の勢いは日米ともに衰えておらず、リスクオフムードを簡単に払しょくすることはできない。週末の手じまい売りも想定すると、日経平均は買い一巡後の後場に値を消す可能性がある。
提供:モーニングスター社
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