富士フイルムが初の6000円台―新型コロナ治療「アビガン」増産へ
2020/4/6 14:31
富士フイルムホールディングス<4901.T>が上場来高値(2月25日の5890円)を更新し、相場の新局面を迎えた。傘下の富士フイルム富山化学が手掛ける「アビガン」が、新型コロナウイルス治療薬としてのプロセスを本格的に歩み始めた。現在の状況を同社に確認した。
<足元の状況を整理>
(1)治験――新型コロナを対象とするアビガン(ファビピラビル)の第3相臨床試験は既に開始した。被験者は非重篤の20-74歳で期限は6月末。その後データを解析し、有効性が確認できれば申請する運び(富士フイルムのコーポレートコミュニケーション部、以下回答は同じ)。
(2)増産――政府からの要請を受け3月上旬に着手している。原材料をはじめとするサプライチェーンを強化している段階。
(3)特許――アビガンの物質特許は中国など海外では失効しているが、日本では2024年まで有効。また、海外への輸出については日本政府と協議をして決める。
<未知の感染症から世界を救う?>
中国政府がアビガンの新型コロナへの有効性を発表した3月中旬を起点に、富士フイルムの相場つきは一変した。その後日本でも最重要の特効薬の候補に位置付けられ、足元では海外への提要も視野に入る。株価はこの日、初の6000円台に乗せて一時6420円(前週末比11.4%高)まで突き上げた(11時15分現在)。
アビガンが未知の感染症から世界を救うことになるのか、世界の市場関係者が注目する。一方、アビガンに原材料の「マロン酸ジエチル」を供給するデンカ<4061.T>も大幅高し、1カ月半ぶりに3000円台を回復した。
提供:モーニングスター社
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