<話題>ファーストリテ決算、下方修正は織り込み済みか―日経平均値動きのポイントに
2020/4/10 8:55
二番底形成が目前の日経平均株価にとって、きょう10日の相場はファーストリテイリング<9983.T>の動きが焦点となりそうだ。
<新型コロナで収益落ち込む>
ファーストリテは前日、20年8月期上期の連結決算を発表した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的規模での流行)を受け主力の「ユニクロ」をはじめとする衣料品専門店が国内外で休業に追い込まれた影響で、営業利益は前年同期比21%減の1367億円(第2四半期<19年12月-20年2月>は34%減の450億円)に落ち込んだ。
厳しい業況を受け、通期の営業利益の見通しを従来の2450億円から1450億円(前期比44%減)に下方修正した。世界の売上は経済の復調しつつある中国で回復に向かっている一方、他の地域ではほとんどが休業状態のまま。年間配当の予想も500円から前期並みの480円に減額した。国内ユニクロ事業の3月の既存店売上高は、前年同月比28%減に低迷した。
ただ、市場の評価は思いのほか落ちていないようだ。9日のADR(米国預託証券)の円換算値は4万7106円と前日比で1.6%上昇している(同日の東証終値は4万6950円)。修正後の営業利益の計画は、市場予想の下限(1500億円程度)と大差がなく、この程度の悪化は既に織り込まれていたと考えられる。データに基づく当面の地域ごとの売上予測の前提を明らかにするなど、開示面での評価も増した格好だ。
<仕掛けの買い想定、終盤手じまいも>
同社株は日経平均への寄与度が大きいため、オプションSQ(特別清算指数)算出日に当たるきょうの東京株式市場では、決算への安心感も相まって仕掛け的な買いが流入する可能性が高い。日経平均が前日比で400円高した8日は、ファーストリテがこれといった材料もなく3320円(7.7%)上昇して全体相場を支えた。
もっとも、今週の日経平均の上げ幅は9日の時点で1500円を上回る上、10日は欧米市場が休場ということもあり、後場には手じまいの売り圧力がファーストリテ、日経平均とも強まる展開を念頭に置きたい。
提供:モーニングスター社
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