<新興国eye>ブラジル中銀、0.75ポイント追加利下げ―市場予想通り

新興国

2020/6/18 11:04

 ブラジル中央銀行は17日の金融政策決定委員会で、新型コロナウイルスのパンデミック(感染症の世界的流行)の悪影響を抑制し、景気を一段と刺激するため、政策金利(セリック)である翌日物金利誘導目標を0.75ポイント引き下げ、過去最低水準の2.25%とすることを全員一致で決めた。市場予想通りだった。

 中銀は18年5月、急激なレアル安が輸入物価を押し上げインフレを加速させるリスクが高まったとして、それまでの利下げ継続から現状維持に転換。19年6月まで10会合連続で現状維持を決めた。ただ、同年7月に景気回復ペースが鈍化する見通しが強まったため、18年3月以来1年4カ月ぶりに利下げに踏み切った。利下げはコロナ危機による景気悪化懸念が強まる中、前回5月会合に続き、8会合連続。また、0.75ポイントの大幅追加利下げはこれで2会合連続となる。

 中銀は、追加利下げを決めたことについて、「1-3月期GDP(国内総生産)はパンデミックを反映し、15年以来5年ぶりの大幅な減少となった。最近の景気指標をみると、4-6月期はさらに大幅なマイナス成長となる見通しだ。ブラジル経済が20年下期(7-12月)に回復するかどうかは依然としてかなり不透明となっている」とした上で、「ブラジル経済の現状はこれまでにない強い景気刺激の金融政策(大幅利下げ)が必要と判断した」としている。市場では20年GDPを6.51%減と予想している。

 インフレの見通しについては前回会合時と同様、「基調インフレ率(コアインフレ率)は金融政策のタイム・ホライズン(20年と21年を含む時間軸)で物価目標(4%上昇)の達成が可能な水準で推移している」とインフレが抑制されていくとの見方を示し、さらに、「今回の利下げ決定はインフレ率が金融政策のタイム・ホライズンで物価目標に向かって収束するとの予測と合致するものだ」としている。

 今後の金融政策については、「現時点で、すでに実施された金融政策による景気刺激の強さとパンデミックの経済への悪影響はうまくバランスが取れていると判断している。したがって、次回以降の会合では、パンデミックと金融政策のそれぞれの影響の度合いを点検することが適切と考える」としたが、「今の景気刺激の金融政策に対する調整(追加金融緩和)の余地はある」「次の対応を決めるにはパンデミックの今後の進展に関する情報や財政赤字の拡大懸念の低下が重要となる」とも述べており、パンデミックの成り行き次第で再利下げの可能性があることを示唆した。

 次回の金融政策決定会合は8月4-5日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 ボベスパ<1325.T>、iSエマジン<1582.T>、上場MSエマ<1681.T>、

 iS新興国<1362.T>、上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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