【株式新聞・総力配信】ノーベル賞シーズン到来!―注目候補と関連株を先取り(前編)
2020/9/23 11:31
ノーベル賞の季節がやってきた。気になる日本人受賞者や注目の研究テーマをめぐり、投資家の期待も高まり始める時期だ。幾つかの観点から動向を占った。
<日本人の連続受賞に期待>
ノーベル賞の発表は10月5日の医学生理学賞を皮切りに、6日に物理学賞、7日に化学賞と続き、8日に文学賞、9日には平和賞、そして12日に経済学賞が控える。日本人は昨年まで2年連続(2017年文学賞の日系人カズオ・イシグロ氏を含めれば3年連続)で栄誉に輝いており、今回も見込みはあると思われる。
世界を新型コロナ禍が覆った20年。やはり注目されるのは、未知のウイルスに立ち向かった人類の知恵と行動に対する評価だろう。ただ、一つのテーマがノーベル賞に反映されるまでにはタイムラグを要する。また、この戦いは進行中だ。ワクチンや治療薬を俎上(そじょう)に載せるのはまだ先だろう。
可能性があるとすれば平和賞か。18日現在の英ブックメーカー(賭け屋)のオッズは、「WHO(世界保健機関)」が環境保護活動家のグレタ・トゥーンベリさんを抑えて1番人気になっている。ただ、新型コロナをめぐるWHOの対応への批判は世界的に根強く、実際に受賞すれば物議を醸すことが必至だ。
<豊作の2010年代に続け>
一方、自然科学3賞(医学生理学賞、物理学賞、化学賞)について日本人にチャンスはあるのか。その前に、直近の成績を見ておこう。
19年は、リチウムイオン電池を開発した旭化成<3407.T>の吉野彰名誉フェローが化学賞を受賞。18年は小野薬品工業<4528.T>のがん治療薬「オプジーボ」に応用された免疫抑制たんぱく質を発見した、京都大学の本庶佑教授が医学生理学賞を獲得した。17年こそ逃したが、14-16年には3年連続でノーベル賞ウィナーが生まれている。
年代別では1990年代に自然科学3賞の日本人受賞者がいなかったのに対し、00年代は一転して物理学賞と化学賞で7分野8人(うち1人は米国に帰化した日本出身者)が受賞し、10年代は8分野11人(同)とさらに豊作だった。医学生理学賞もiPS細胞の山中伸弥京大教授が25年ぶり2人目となった12年以降、15、16、18年とコンスタントに受賞者が出ている。
基礎研究の予算不足が日本の科学技術の競争力を揺るがす懸念が叫ばれる半面、その功績が世界から評価される流れは着実に形成されてきた。引き続き新たな受賞者の誕生に期待したい。そうなることで菅新政権における優先順位は高まり、次の時代への飛躍にもつながるだろう。
<「京大卒」の黄金期再び?>
ここ数年の傾向から読み取れるもう一つの潮流が「京大卒の復活」だ。
素粒子物理学の中間子論により49年に栄えある日本人初のノーベル賞受賞者となった湯川秀樹氏、65年の第2号の朝永振一郎氏、化学賞では81年の福井謙一氏、医学生理学賞は87年の利根川進氏と、先べんを付けた巨人たちはいずれも京大を出ている。ところが利根川氏以降はしばらく途絶え、日本人科学者の受賞が増え始めた00-10年にもわずか1人にとどまった。(画像クリックで拡大版にジャンプ)
だが、ここへきて盛り返しつつある。14年に京大卒で青色発光ダイオードの開発に貢献した赤崎勇氏(名城大学教授)が物理学賞に輝くと、18、19年は本庶氏、吉野氏と2年連続で同大学を出た研究者が栄冠を勝ち取り、黄金期入りの様相を強めている。
発表が近づく今回のノーベル賞。日本人・京大卒ともに3連覇となるのか。後編では、その有力候補とともに関連銘柄に焦点を当てる。
提供:モーニングスター社
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