<新興国eye>トルコ金融当局、銀行への資産比率規制を緩和―リラ安阻止とインフレ抑制

新興国

2020/9/30 11:31

 トルコの金融規制・監督当局である銀行調整監視機構(BDDK)は28日、通貨リラの下落進行を阻止し、インフレを抑制するため、10月1日からイスラム銀行の資産比率規制(預金額に対する貸出金と国債保有額の合計額の比率)を75%から70%に、それ以外の一般の市中銀行の資産比率規制も95%から90%に緩和する方針を明らかにした。

 最近のリラ安の進行により輸入物価が上昇しインフレ率が加速し始めたため、物価安定の一環として、規制緩和によりリラ高を狙ったもの。リラ高は輸入物価を低下させ、インフレを抑制する効果が期待される。

 一方、トルコ中央銀行は24日の金融政策決定会合で、インフレを抑制するため、政策金利を2.00ポイント引き上げ、10.25%としている。リラは25日、午前の取引で1ドル=7.747リラだったが、資産比率規制緩和の発表後は7.6725リラと、1%のリラ高・ドル安となっている。

 もともと、BDDKの資産比率規制は20年4月に新型コロナウイルスのパンデミック(感染症の世界的流行)対策として、銀行の企業・家計向け貸し出しや国債購入を拡大させるために導入したもの。一般銀行とイスラム銀行はそれぞれ少なくとも100%と80%を維持するよう規制されていた。ただ、その後、パンデミックが一服したことを受け、BDDKは金融政策の正常化の一環として、資産比率規制を徐々に緩和し始めた。

<関連銘柄>

 iS新興国<1362.T>、上場MSエマ<1681.T>

提供:モーニングスター社

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