<新興国eye>トルコ政府、新財務相にエルバン元副首相を任命

新興国

2020/11/12 10:46

 トルコ政府は10日、ベラト・アルバイラク財務相が健康上の理由で辞任したのに伴い、後任の新財務相に、15-16年に副首相を務めたリュトフィ・エルバン氏を任命した。同氏は財務相に就任する直前は、大国民議会の計画・予算員会の委員長だった。地元紙ヒュリエトなどが伝えた。

 エルバン新財務相は10日、議会での就任演説で、「トルコは断固としてインフレとの戦いを進め、財政規律の維持により、財政の健全化を高める」とした上で、「マクロ経済の安定を維持しながら、成長と雇用の拡大に弾みをつける」と市場に対しトルコ経済の信頼性を高めたい考えを示した。

 この背景には、通貨トルコリラの下落の進行による輸入物価の上昇がインフレ上ブレリスクとなっていることがある。トルコ統計局が4日発表した10月CPI(消費者物価指数、03年=100)は前年比11.79%上昇と、9月の11.75%上昇から伸びが加速している。

 インフレ見通しについては、トルコ中央銀行が10月28日に発表した最新の四半期インフレ報告書で、20年末時点で12.1%上昇、21年末時点で9.4%上昇と予想している。これは予測の前提となる輸入物価と食品物価の20年と21年の見通しをいずれも前回7月予想時点から加速方向に修正したからだ。輸入物価は20年が5.9%低下(7月予想時点は6.2%低下)、21年は5.0%上昇(同3.3%上昇)となっており、中銀が通貨トルコリラの大幅下落を阻止できず、リラ安が進行したため、輸入物価が押し上げられている。リラはドルに対し、年初来で27%超下落している。

 また、政府が9月29日に発表した21-23年の新中期3カ年経済計画では、インフレ率の見通しは20年末時点が10.5%上昇、21年末時点は8.0%上昇、22年末時点は6.0%上昇とし、23年末時点で4.9%上昇を新たな目標としている。

 これより先、政府は7日、トルコ中央銀行のムラート・ウイサル総裁を解任し、後任の新総裁に15-18年に財務相を務めた経験のあるナジ・アーバル氏を任命した。アーバル氏は就任直前まで大統領府戦略予算局長だった。ウイサル氏は19年7月に総裁に就任して以降、わずか1年3カ月での退任となった。

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提供:モーニングスター社

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