<新興国eye>カンボジア、「中間年農業調査2019」の結果を発表
2021/3/5 16:27
2月9日、カンボジア計画省国家統計庁(NIS)と農林水産省は、「中間年農業調査2019」の結果を発表するワークショップを開催しました。この調査は、13年に実施された農業センサスと次のセンサスの中間年の調査として、19年7月-11月に実施されたもので、国連食糧農業機関(FAO)、米国国際開発庁(USAID)、ビル&メリンダ・ゲイツ財団などの支援を受けています。
調査によりますと、農業に従事している世帯の総数は、カンボジア全世帯(約343万8000世帯)の約半数に当たる約172万6000世帯でした。主要作物は、コメ、マンゴー、バナナ、香り米などです。
生産した農産物の61%は自家消費用で、39%が販売用です。農業世帯のうち、家畜の飼育をしている世帯は、全世帯の75%に当たる約130万1000世帯です。ニワトリや牛を飼育しています。漁業(養殖含む)も行っている世帯は全体の16%に当たる約26万8000世帯でした。
また、農業世帯のうち、全ての収入が農業によると回答したのは4%のみであり、ほとんどの収入が農業(収入の60-99%)と回答したのは17%、約半分の収入が農業(収入の40-59%)と回答したのは32%を占め、兼業農家化が進みつつあるものと見られます。なお、前年と比べて収入が「増加した」と回答した農家は13%、「ほぼ同じ」が56%、「減少した」が31%となっています。
こうした基礎的な統計調査は、地味な活動ですが、農業開発政策の策定や予算策定、政策実施に欠くことのできないものです。次回の農業センサス(おそらく24年)が確実に実施されることが期待されます。
【筆者:鈴木博】
1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin-Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。
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提供:モーニングスター社
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