<新興国eye>カンボジア、太陽光発電所3カ所が完成

新興国

2021/3/26 11:18

 カンボジア鉱業エネルギー省によりますと、カンボジアでの太陽光発電所の建設が進み、19年に承認した4発電所のうち、3カ所が21年第1四半期に完成しました。完成したのは、プルサット州の60メガワットの発電所(事業者Schneitec Renewable)、バンテイメンチェイ州30メガワット(Ray Power)、バッタンバン州60メガワット(Risen Energy)の3発電所で、全国送電網への接続工事も完了した模様です。残るスバイリエン州バベットの20メガワット(Green Sustainable)についても21年第1四半期の完成を目指していましたが、工事が遅延している模様です。

 20年末現在に稼働中の大規模太陽光発電所は5カ所で、スバイリエン州バベット10メガワット(Sanseap Asset)、コンポンスプー州80メガワット(Schneitec Renewable)、コンポンチュナン州60メガワット(Schneitec Renewable)、クラチエ州26メガワット(Kamdhenu)、コンポンチュナン州30メガワット(Schneitec Renewable)となります。合計で2020年末の設備容量は、約206メガワット。今回の3発電所の完成で太陽光発電の設備容量は、合計356メガワットにまで増えました。工事が遅れているスバイリエン州20メガワットを加えて21年末には376メガワットとなる見込みです。

 今後完成予定としては、シアヌークビルの沖合に位置するロン島で設置工事が行われている小型太陽光発電所が、21年6月に稼働する見込みです。出力は1.25メガワットで、島内の電力需要の半分以上をカバーできる計画となっています。また、すでに着工済みの発電所として、コンポンチュナン州の60メガワットなどがあります。

 鉱業エネルギー省では、これらの発電所を含めて太陽光発電を数年以内に、発電容量の約15%を占める465メガワット程度にまで増強したいとしています。さらに、30年には発電容量の17%に相当する1815メガワットにまで増強する計画です。

 カンボジアでは、発電設備容量の約半分が水力発電となっていますが、ダムの容量が少なく季節調整能力が十分でないため、乾季には使用できる水量が大幅に減少して、発電量が減少してしまいます。太陽光発電は、晴れた日が続く乾季には、日中は安定した電力を発電できるため、水力発電の落ち込みをカバーするのに適しています。温暖化を考慮すると、石炭火力発電所が難しくなりつつあり、カンボジアとしては、太陽光発電などの再生可能エネルギーの活用を図る必要があるものと見られます。

【筆者:鈴木博】

1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin-Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。

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提供:モーニングスター社

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