<新興国eye>ルーマニア中銀、政策金利を据え置き―2会合連続

新興国

2021/5/13 11:34

 ルーマニア国立銀行(中銀)は12日の金融政策決定会合で、主要政策金利である1週間物レポ金利を1.25%に据え置くことを決めた。

 また、中銀は主要政策金利の±0.50ポイントのレンジの上限にあたる市中銀行に資金供給するためのロンバート型貸出金利も1.75%、下限にあたる資金吸収のための預金金利も0.75%と、いずれも据え置いた。

 中銀は18年7月から20年2月まで14会合連続で政策金利を据え置いたが、その後、新型コロナのパンデミック(世界大流行)による国内経済への悪影響が懸念されたことから、20年の3月20日の緊急会合で政策金利を0.50ポイント引き下げ、5月と8月も各0.25ポイント引き下げた。11月会合では据え置きを決めたが、21年に入り、1月会合で市場の予想に反し、0.25ポイント引き下げに転じた。利下げ幅が20年以降、計1.25ポイントに達したことを受け、前回3月会合から据え置きに転じ、これで2会合連続の据え置きとなる。

 また、中銀は金融システム内の流動性を適切に管理するため、市中銀行が中銀に預ける預金準備率についても自国通貨建ての預金準備率を8%に据え置く一方で、1月会合で外国通貨建ての預金準備率をECB(欧州中央銀行)や欧州各国の中銀との足並みを揃えるため、1.00ポイント引き下げ、5.00%としたが、これも据え置いた。

 中銀は会合後に発表した声明文で、現状維持を決めたことについて、「3月のインフレ率は前年比3.05%上昇と、2月の同3.16%上昇を下回り、予想をやや下回った。3月のコアインフレ率(間接税率の変更の影響を除くため一定税率ベースでみたコアインフレ率)も同2.8%上昇と、20年12月の同3.3%上昇を下回り、低下傾向が続いている」とし、3月のインフレ率は依然、物価目標(1.5-3.5%上昇)の中心値2.5%上昇を上回っているものの、「3月のインフレ率は電力市場の自由化や原油価格の上昇による一時的な影響を受けている」と目先のインフレ加速懸念は後退しているとの見方を示した。

 ただ、インフレ見通しのリスクについては、「(パンデミックが続く中で)経済の一部セクターに消費回復が見られる。その一方で、新型コロナ感染拡大阻止のための規制措置やサプライチェーンの寸断で財やサービスの生産コストの増加している」と指摘した上で、「現在の経済予測シナリオでは今後2年間、インフレ率はやや高い水準が続くが、その後は金融政策が波及する一定の期間の後半で低下していく」とした。

 今後の金融政策の見通しについては、「景気回復を支え、金融市場の安定を維持し、インフレ率を中期的に物価目標と一致するよう物価の安定を図ることを目指す」とした上で、「中期的な物価安定の達成に必要なあらゆる手段を講じる用意がある」としている。

<関連銘柄>

 上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ