<新興国eye>トルコ5月CPI、前年比16.59%上昇に減速―市場予想下回る

新興国

2021/6/4 12:12

 トルコ統計局が3日発表した5月CPI(消費者物価指数、03年=100)は前年比16.59%上昇と、19年半ば以来、約2年ぶりの高い伸びとなった4月の17.14%上昇を下回り、8カ月ぶりに伸びが減速した。市場予想の17.25%上昇を下回った。減速したとはいえ、依然高水準となっている。これは通貨トルコリラ安による輸入物価の上昇や、前年同月のインフレ率が新型コロナウイルスのパンデミック(感染症の世界的大流行)の影響で11.39%上昇と、低水準だったため、高めの数値が出る、いわゆるベース効果によるもの。

 同国のCPI伸び率は18年10月に前年比25.24%上昇と、25%を突破した。以降は政府のインフレ対策や中銀による大幅な金融引き締め政策により低下し始め、19年10月には8.55%上昇と、16年12月(8.53%上昇)以来2年10カ月ぶりの低水準となった。しかし、パンデミックの悪影響が強まった20年の5月はサプライチェーン(部品供給網)の寸断により、11.39%上昇と、3カ月ぶりに加速に転じ、6月(12.62%上昇)まで2カ月連続で加速。その後、パンデミックが一服し、サプライチェーンが正常化したことを受け、7月は11.76%上昇と、3カ月ぶりに伸びが鈍化。8-10月もほぼ横ばいだったが、11月から伸びが加速し始めた。

 全体指数から値動きの激しい食品やエネルギーなどを除いたコアCPI(グループC)も前年比16.99%上昇と、4月の17.77%上昇から伸びが減速した。

 政府が20年9月29日に発表した21-23年の新中期3カ年経済計画では、インフレ率の見通しは21年末時点が8.0%上昇、22年末時点は6.0%上昇、23年末時点は4.9%上昇を予想している。

 他方、トルコ中銀は4月29日に発表した最新の四半期インフレ報告書で、21年末時点のインフレ率見通しを12.2%上昇(予想レンジは10-14.4%上昇)とし、前回3月調査時点の9.4%上昇(予想レンジは7.3-11.5%上昇)から大きく引き上げた。22年末時点の見通しも前回予想の7%上昇から7.5%上昇に引き上げた。ただ、23年末時点では物価目標の5.0%上昇に収束するとの予想を据え置いている。

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 上場MSエマ<1681.T>

提供:モーニングスター社

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