<新興国eye>日本政府、カンボジアにワクチン100万回分を無償提供へ
2021/7/21 12:32
7月13日、在カンボジア日本国大使館は、日本政府がカンボジアに対しアストラゼネカ製ワクチン100万回分を無償で許与することを決定したと発表しました。世界的なワクチン供与システムCOVAXを活用して供与される予定で、運輸手段等が整い次第、プノンペンに空輸される見込みです。アストラゼネカ製ワクチンは、ライセンスを受けて日本国内で製造されたものとなります。
カンボジア政府は、すでに1600万回分のワクチンを入手しており、8月末までに2000万回分の調達を完了できる見込みです。しかし、そのほとんどは中国製で、アストラゼネカ製(インドで生産)は32万4000回分のみでした。中国製のワクチンの感染防止の有効性については、様々な結果から必ずしも満足のいく状況にはないものと見られます。こうした中で、日本政府が、アストラゼネカ製ワクチンを100万回分もカンボジアに無償供与することは大きな意義のあることです。
在カンボジア日本国大使館の三上正裕大使は、「このワクチンの無償供与が、カンボジア政府の新型コロナ対策を支援するとともに、カンボジアの人々の不安解消に役立つことを希望しています」と述べています。これまでも日本政府はカンボジアに対し様々な支援を行ってきており、20年11月には、新型コロナウイルス危機対応のための緊急支援を目的とした250億円を限度とする円借款をカンボジアに供与しています。さらに、新型コロナ対策として、5000万ドル以上の無償資金協力を行っています。
中国のワクチン外交が目立っていますが、日本政府は本当に役立つ支援を行ってきており、今般のワクチン供与もカンボジアの真のニーズに応える重要な意義を持つものと見られます。ワクチンが早期に到着し、カンボジアの人々に接種されてきちんとした免疫が確保されることが大いに期待されます。
【筆者:鈴木博】
1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin-Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。
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提供:モーニングスター社
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