<中原圭介の相場観>日本株の強気見通しに暗雲

株式

2021/9/28 12:25

 前週は世界の株式市場が中国・恒大集団の債務問題に揺さぶられた。多くの識者が言及しているように、この問題がリーマン・ショックのようなグローバルな金融危機につながる可能性は極めて低いと思う。

―中国リスクは慎重に―

 しかしそうは言っても、同社の経営が行き詰まれば中国経済の想定以上の減速は避けられない。中国で不動産関連事業はGDP(国内総生産)の20-30%を占めており、当局による不動産バブルの抑制は鉄鋼、非鉄金属、建設、建機、電機機器など幅広い産業に影響を与えるだろう。

 その結果、中国経済に依存度が高い国ほど、今後は逆風に見舞われる。米国はさほど悪い影響を受けることがない一方で、日本をはじめ、アジア諸国はそれ相応のダメージを覚悟しなければならないだろう。また、過剰な負債は恒大集団特有の問題ではなく、中国の不動産会社に共通する。第2、3の恒大が出てくる懸念も否定できない。

 前回13日の当欄で視野に入れた日経平均株価の年内3万2000円の達成確度は、現時点で五分五分といったところ。中国経済の減速リスクは日本企業の次の四半期決算(7-9月)ではまだ表面化しないだろうが、その次の10-12月には会社側コメントが急増し、保守的な予想が多くなるかもしれない。

―半導体不足の解消は不透明―

 半導体不足が当初の想定以上に長期化しそうな情勢になってきている点にも注意したい。半導体製造装置の大手アドバンテスト<6857.T>でさえ、部品不足からテスターの納期が3カ月程度から6カ月程度に延びているという。

 半導体不足の解消は2022年末でも難しいかもしれない。また、トヨタ自動車<7203.T>の減産の一因となったは東南アジアの新型コロナウイルスは感染者数が高止まりしている。そうした中、日経平均は当面2万7000-3万1000円(厳密には2万6954-3万795円)のレンジ相場が続く可能性がある。不測の事態に対応できるようにしておきたい。(アセットベストパートナーズ 中原圭介)

提供:モーニングスター社

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