<新興国eye>インドネシア中銀、市場予想通り政策金利据え置き―来年も据え置く方針

新興国

2021/10/20 12:17

 インドネシア中央銀行(BI)は19日の理事会で、主要政策金利の1週間物リバースレポ金利を過去最低水準の3.50%に据え置くことを決めた。市場予想通りだった。デルタ株感染拡大による経済への悪影響を緩和し、ルピア相場を安定させ、景気支援を継続する。

 また、中銀は過剰流動性を吸収するための翌日物預金ファシリティー金利(FASBIレート)も2.75%、翌日物貸出ファシリティー金利も4.25%と、いずれも据え置いた。

 中銀は新型コロナウイルスのパンデック(世界的大流行)による景気悪化を受け、20年2月から7月まで4会合連続で利下げを実施。その後、11月会合、21年2月会合で利下げを再開し、利下げ幅は20年2月以降で計1.50ポイントに達している。据え置きは前回9月会合に続いて8会合連続。

 中銀は会合後に発表した声明文で、政策金利を据え置いたことについて、前回会合時と同様、「今回の据え置き決定は、低インフレが今後も続くと予想される中、景気回復を支援する一方で、(ドルに対し下落している)通貨ルピア相場と金融システムを安定させる必要性と合致する」とした。

 その上で、今後の金融政策についても、前回会合時と同様、「マクロ経済と金融システムの安定を維持し、一段の景気回復の措置を支援するため、ポリシーミックス(複数の経済政策手段の一体運営)を最適化していく」とした。

 具体的にはルピア相場の安定(過度の相場下落阻止)のため、経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)を反映した動きとなるよう、(ドル売り・ルピア買いの)市場介入を実施することや、引き続き、金融緩和スタンスの有効性を補完するため、公開市場操作(オペ)を強化するとしている。

 中銀のペリー・ワルジヨ総裁は会合後の会見で、今後の金融緩和スタンスの見通しについて、「21年の政策金利は引き続き低水準となり、(量的金融緩和による)潤沢な流動性供給も維持される。22年の大半も低金利が維持され、流動性については少しずつ削減を開始する」と述べ、22年後半まで政策金利を据え置く方針を示した。

 ルピア相場については、前回会合時と同様、「ルピア相場は国内景気の回復見通しや中銀の為替相場安定策、安定した海外からの資金流入により、(主要通貨に対し)強い状態が続いている」とし、デルタ株感染拡大の小康化し、国内経済活動の再開の動きが強まっていることを受け、ルピア相場が堅調となっていることを強調。その上で、「タイやマレーシア、フィリピンに比べ、自国通貨安の進行は緩やかだ」とした。

 インフレ見通しについては、「インフレ率は9月のCPI(消費者物価指数)が前年比1.6%上昇と、8月の1.59%上昇からやや加速した」、「コアインフレ率は為替相場が安定していることや、国内需要がまだ強くないため、低水準で維持されている」とした上で、「21年のインフレ率は物価目標(3%上昇±1%)レンジの中心値をやや下回る水準で、22年は物価目標の範囲内で推移する」と予想している。

 景気見通しについて、「国内経済は改善が続いている」とした上で、21年の成長率見通しを従来予想の3.5-4.3%増に据え置いた。22年の見通しについては、「ワクチン接種の加速による人の移動の拡大や強い輸出、主要産業セクターの活動再開、政府の景気刺激策により、改善が進む」としている。

 次回の金融政策決定会合は11月17-18日に開かれる予定。

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