来週の日本株の読み筋=決算ラッシュのなか本格的な業績相場移行なるかに注目

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株式

2021/11/5 17:16

 来週(8-12日)の東京株式市場では、決算ラッシュのなか、本格的な業績相場に移行できるかに注目したい。来週は社数ベースで週末12日の700社超をピークに決算発表が相次ぎ、個別株中心に売買が活発化する方向にある。

 直近では、4日に発表されたトヨタ自動車<7203.T>の7-9月期(今3月期第2四半期)決算が好内容だった意味は大きい。本業のもうけに当たる連結営業利益が市場予想を大きく上回り、通期計画も増額された。円安の追い風があったとはいえ、半導体不足などによる減産下での高収益は評価に値する。株価は決算発表直後に年初来高値を付け、その後は利益確定売りに上値が重くなり、週末5日は反落したが、需給は早晩安定するとみられる。

 実際、半導体の供給制約の改善をマーケットは意識し始めているようにも見える。ゲーム機「スイッチ」の販売台数を引き下げた任天堂<7974.T>の株価は5日、前日比で大きく下げることなく切り返してプラス圏に浮上した。

 半導体をはじめとする部品の調達難や、物流費、原材料価格の上昇は、足元の企業業績に色濃く反映され、それに伴う収益の伸び悩みや下方修正で急落する銘柄も相次いだ。しかし、半導体メモリーのDRAM価格は既にピークアウトしているほか、コンテナ船運賃も中国・上海発のスポット指数(SCFI)が下落に転じており、もはや株価には十分に織り込まれたかもしれない部品供給の制約や原材料高を今後も懸念し続ける必要性は薄いとも考えられる。

 一方、衆院選(10月31日投開票)での予想を上回る自民党の勝利とFOMC(米連邦公開市場委員会、現地3日まで開催)の無難な決着が市場のリスク許容度を広げ、全体相場にプラス影響をもたらした。自民が衆院選で単独絶対安定多数を維持し、来夏の参院選へ向けても勢いを得たことで、岸田政権の長期化が視野に入った。FOMCではテーパリング(金融緩和の縮小)がアナウンスされたものの、利上げ時期の想定は早まらなかったことで、当面は売りにくい相場になったとも言える。

 なお、スケジュール面では、国内で8日に10月27-28日開催の日銀金融政策決定会合の「主な意見」、9月景気動向指数、9日に10月景気ウォッチャー調査が発表される。海外では8日に中国共産党、第19期中央委員会第6回全体会議(6中全会)開催(11日まで)、9日に独11月ZEW景況感指数、10日に中国10月消費者物価、中国10月生産者物価、米10月消費者物価などが予定されている。

提供:モーニングスター社

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