市場関係者に聞く2022年相場(1)りそなアセットマネジメント・黒瀬氏

株式

2021/12/29 16:11

<物価上昇は失速も、日経平均は参院選底に上昇へ>

りそなアセットマネジメント/黒瀬浩一チーフ・ストラテジスト

 コロナ・ショック後の需要の回復や物流の混乱を背景に、インフレの基調が強まっている。ただ、平均的な市場の想定ほどは継続性がないように思う。米国ではバイデン大統領の看板政策の雲行きが怪しく、FRB(米連邦準備制度理事会)は利上げを重ねることを躊躇(ちゅうちょ)するだろう。

 バイデン大統領の大型歳出法案は、同じ民主党の重鎮であるマンチン議員の反対によって上院の通過が厳しくなった。同法案には子育て支援や気候変動対策などが盛り込まれており、その規模は1.75兆ドル(約200兆円)と巨額だ。これが圧縮されると経済への影響は大きくなる。

 21年12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、22年に0.75ポイント(3回分)の利上げ見通しが示された。しかし、物価を押し上げる需要を冷やすのには経済対策の頓挫だけで十分だ。6月までに最初の利上げを決定するとみるが、同国のCPI(消費者物価指数)も22年前半に失速することが予想され、結局はその1回で打ち止めになるかもしれない。

 22年の株式相場は米国経済への期待値が幾分はく落する半面、金融引き締めは現在警戒されているよりは緩やかになるだろう。市場はそうした環境と折り合いをつけるだろう。中国も含めて景気自体は拡大が続くとみられ、インフレ抑制との両立にメドがつく年後半には株価の上昇圧力が強まりそうだ。

 日本株も年後半は米国の株高に追随し、日経平均株価は年末に3万1000円程度までの上値余地が見込まれる。ただ、それに先立ち、岸田政権による増税への懸念がピークを迎えるであろう7月の参院選前後には、いったん2万7000円あたりに調整する可能性がある。

 新型コロナをめぐってはオミクロン株の状況が注視されるものの、経済活動を進めている流れが世界的に形成されると考えている。その意味で日本航空(JAL)<9201.T>などに期待したい。また、EV(電気自動車)時代の本格化により優位性がより高まるデンソー<6902.T>にも強気のスタンスだ。

提供:モーニングスター社

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