<新興国eye>トルコ12月CPIは前年比36.08%上昇、19年ぶり高い伸び―市場予想上回る

新興国

2022/1/5 13:55

 トルコ統計局が3日発表した21年12月CPI(消費者物価指数、03年=100)は前年比36.08%上昇と7カ月連続で伸びが加速し、02年9月以来19年3カ月ぶりの高い伸びとなった。市場予想の同30.6%上昇に対しても上回った。CPI伸び率は、20年11月(同14.03%上昇)以降、加速傾向にある。前月比でも13.58%上昇と、11月の3.51%や10月の2.39%上昇を大幅に上回った。

 セクター別の前年比は、運輸が53.66%上昇(11月は22.74%上昇)と、最も高い伸びとなった。次いで、食品・清涼飲料水の43.8%上昇(同27.11%上昇)、家具・生活用品の40.95%上昇(同25.14%上昇)、ホテル・カフェ・レストランの40.85%上昇(同28.9%上昇)となり、いずれも全体平均(36.08%上昇)を上回った。このほか、どのカテゴリーにも入らないその他商品・サービスは35.37%上昇(同18.36%上昇)、住宅(光熱費や修理費)も28.57%上昇(同23.78%上昇)と、11月に比べ急加速している。

 全体指数から値動きの激しい食品やエネルギーなどを除いたコアCPI(グループC)も前年比31.88%上昇と、11月の17.62%上昇や10月の16.82%上昇を大幅に上回っている。

 12月のインフレ急加速は、主に通貨トルコリラの急落(1ドル=18.4リラの過去最安値を更新)により輸入物価が急上昇したため。実際、12月のPPI(生産者物価指数)は前年比79.89%上昇、前月比でも19.08%上昇と、高進ぶりが目立っている。

 政府が21年9月6日に発表した22-24年の新中期3カ年経済計画では、インフレ率の見通しは21年末時点で16.2%上昇と予想した上で、22年末時点は9.8%上昇、23年末時点は8%上昇、24年末時点は7.6%上昇を予想している。

 他方、トルコ中銀が21年10月28日に発表した最新の四半期インフレ報告書では、21年末時点のインフレ見通しを18.4%上昇と予想。22年末時点の見通しは11.8%上昇、23年末時点では物価目標の7%上昇に収束すると見ている。シャハプ・カヴジュオール中銀総裁は21年11月、インフレ見通しについて、「われわれの金融政策の効果が22年上期に現れ、インフレの急加速は近いうちに鈍化し始める」と指摘している。

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 上場MSエマ<1681.T>

提供:モーニングスター社

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