<新興国eye>ポーランド中銀、0.50ポイント追加利上げ―4会合連続

新興国

2022/1/13 12:06

 ポーランド国立銀行(中銀)は4日の金融政策委員会で、インフレ加速を阻止するため、主要政策金利の7日物レファレンス金利を0.50ポイント引き上げ、2.25%とすることを決めた。市場の大方の予想通りだった。ロンバート金利、再割引金利、公定歩合、預金金利もそれぞれ2.75%、2.30%、2.35%、1.75%と同率に引き上げた。

 同委員会は12日開催予定だったが、4日に開催された。理由は明らかにされていないが、ポーランドでは年明けから新型コロナウイルスの感染が再拡大し、ワクチンのブースター接種をした同国のドゥダ大統領も5日に感染が判明するなど感染リスクが一段と高まっていることから、前倒し開催されたものとみられる。

 中銀は新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、20年3月17日の緊急会合で5年ぶりに0.5%ポイントの大幅利下げを決め、その後も5月まで3会合連続で引き下げた。6月会合で据え置きに転じ、21年に入っても9月会合まで14会合連続で金融緩和政策を継続していたが、インフレの急加速を受け、10月会合で12年5月以来9年5カ月ぶりに利上げに転じ、利上げはこれで4会合連続となる。

 4会合連続利上げについて中銀は、「さらなる景気回復と良好な労働市場が継続することが予想され、また、(エネルギー価格や農産物価格の上昇や部品供給網の寸断など)外部からの物価上昇圧力が持続する中で、インフレ率がわれわれの物価目標を上回り続けるリスクがある。このリスクを軽減するため、つまり、中期的にインフレ率を物価目標にまで引き下げるため、利上げを決めた」としている。

 最新の11月のインフレ率は前年比7.8%上昇と、21年ぶりの高い伸びとなり、インフレの急加速が続いている。12月CPIはまだ発表されていないが、市場予想では同8.3%上昇となっている。中銀は今回の会合で、「長期的には現在、物価を押し上げているいくつかの世界的な外部要因が後退するほか、われわれの利上げ効果によりインフレは低下する」としている。

 経済の見通しについては、「ポーランド経済は新型コロナの感染拡大にもかかわらず、回復し続けている。失業率の低下と平均賃金の大幅上昇が示すように、労働市場の状況も同様に改善している。今後数四半期、経済情勢は引き続き良好が予想される」としている。

 ただ、中銀は「新型コロナやサプライチェーンのボトルネック(制約による品不足)、エネルギー価格の高騰が景気見通しのリスク要因」と警戒感を緩めていない。

 市場では中銀のインフレ懸念は当分、続くと見ており、主要政策金利は年内にあと0.75ポイントの引き上げ余地があると見ている。

 次回の会合は2月8日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 上場EM債<1566.T>、上場MSエマ<1681.T>

提供:モーニングスター社

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