<新興国eye>マレーシア中銀、政策金利を1.75%に据え置き―市場予想通り

新興国

2022/1/21 12:27

 バンク・ネガラ・マレーシア(中銀)は20日の金融政策決定会合で、オミクロン株感染拡大の悪影響を受けた国内経済を支援するため、政策金利である翌日物政策金利(OPR)を過去最低の1.75%に据え置くことを決めた。市場予想通りだった。

 中銀は20年1月、経済成長の上昇軌道を確実にするための予防的措置として、8カ月ぶりに利下げを再開。コロナ禍が始まった3月には追加利下げを実施した。その後も4会合連続で利下げし、利下げ幅は計1.25ポイントに達したことを受け、20年9月に金利据え置きに転換。これで現状維持は9会合連続となる。

 中銀は会合後に発表した声明文で、景気の見通しについて、「新型コロナの感染拡大を抑制するための封じ込め措置の緩和に伴い、21年10-12月期に経済活動が回復した」とし、前回会合時から景気判断を引き上げた上で、「21年の成長率は3-4%増の予測の範囲内となる。今年は世界的な需要拡大、民間投資支出の増加、継続的な政策支援に支えられ、成長の勢いはさらに高まる」とした。今年の成長率は5.5-6.5%増になると予想されているが、中銀は、「サプライチェーンの寸断やオミクロン株、思ったよりも弱い世界経済の成長率などにより、景気リスクは依然として下ブレ」と見ている。

 インフレの見通しについては、中銀は前回会合(21年11月)と同様、「11月までの年初来のインフレ率は全体指数が平均で2.3%上昇となっており、22年は燃料費の上昇の影響がなくなるため、緩やかな伸びにとどまる見通し。コアインフレ率も経済活動の正常化に伴い、上昇傾向を示すが、緩やかな伸びを維持する」とインフレ加速は一時的との判断を変えなかった。

 今後の金融政策の見通しについては、前回会合時と同様、「(現在の)金融政策のスタンスは適切で、金融緩和となっている」、「政府の財政措置が企業と家計への経済的影響を緩和し、経済活動を支援し続ける」とした上で、「今後の金融政策スタンスは新たなデータや情報、インフレと景気の見通しに対するリスクを勘案して決められる」との見解を示している。

 市場では21年は金融引き締めに転換し、年内に0.5ポイントの利上げを予想している。

 次回の会合は3月3日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 ブルサKLC<1560.T>、iSエマジン<1582.T>、アセアン50<2043.T>、

 アジア債券<1349.T>、上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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