TREHDが選別強化と資源価格高止まりで恩恵、通期業績と配当見通しを増額

株式

2022/3/1 8:49

 TREホールディングス(TREHD)<9247.T>が、14日発表した22年3月期第3四半期累計(21年4-12月)の連結業績は、売上高450億3800万円、営業利益51億4300万円、経常利益49億1900万円、純利益30億1800万円で着地した。タケエイとリバーホールディングスの共同持株会社として21年10月1日に発足した経緯から同社としての前年同期との増減率等の比較はないが、中間処理施設における分選別強化により有価物(鉄、アルミ、古紙類など価値ある有体物)の回収量が増加したことや、資源相場の高止まりを受け22年3月期(通期)の連結業績予想を上方修正。売上高を640億円から674億円に、営業利益を57億円から74億3000万円にそれぞれ引き上げた。

 また、配当予想を当初の期末一括20円(普通配当15円、記念配当5円)から同25円(普通配当20円、記念配当5円)に増額修正した。

 22年3月期第3四半期累計の連結業績をセグメント別にみていくと、タケエイグループの事業セグメントである「廃棄物処理・再資源化事業」では、タケエイにおいて資源の分選別強化や、廃棄物を原料とするRPF(固形燃料)や製鉄所向けの製鉄転炉工程におけるフォーミング抑制材(エコ・フォーム)の製造・製品化が貢献。石膏ボードの再資源化を行っているギプロ、グリーンアローズ関東、グリーンアローズ東北の3社、工場廃液からニッケルなどの金属や肥料原料のリン等を取り出すイコールゼロ、管理型最終処分場を有する北陸環境サービス、スクラップを扱うタケエイメタルなどが業績に貢献し、同セグメントの売上高は188億6800万円、営業利益が38億3000万円、営業利益率は20.3%となった。

 リバーホールディングスの事業セグメントである「資源リサイクル事業」は、資源価格の高止まりに加え、廃棄物の徹底した選別強化により、第3四半期(21年10-12月)の売上高が122億7700万円、営業利益は14億5200万円、営業利益率は11.8%となった。

 「再生可能エネルギー事業」については、市原グリーン電力で臨時の補修工事が必要となり、その間発電を停止したことや、横須賀市や福島県田村市の発電所において上期(21年4-9月)の運転が安定しなかったことから営業赤字となった。ただ、補修工事がすべて完了したほか、横須賀や田村の発電所においても下期に入ってからは稼働が安定してきたことで赤字幅は縮小傾向にあり、22年3月期通期ベースではセグメント損益が大幅に改善する見通しだ。

 第3四半期累計の事業トピックスは4つある。

 第1に、信州タケエイにおいて太陽光パネルリサイクル事業を開始した。今後廃棄や交換が見込まれる太陽光パネルから有用な金属を回収するだけでなく、回収したガラスをグラスウールなどの再生材として利用していく予定。併せて福島県相馬市でも太陽光パネルリサイクル事業を計画している。

 第2に、門前クリーンパークが建設している管理型最終処分場の工事進捗について、総埋立容量343万立方メートルのうち、第1期工事83万6000立方メートルが22年11月頃工事完成し、23年春に営業開始予定としている。

 第3に、グループの「サーキュラーエコノミー」への取り組みだ。子会社リバーの東松山事業所では、電子廃棄物専用の破砕ラインを新設し、今後需要の増加が見込まれる電子廃棄物のリサイクルの強化に取り組んでいる。一方、栃木県の子会社NNYにおいては、既存設備で選別を行った後の残渣(ざんさ)物から、さらに樹脂を選別するラインを22年7月に増設し、現状の3倍となる年間1800トンの資源化を図る。

 第4に、4月から施行される「プラスチック資源循環促進法」を見据えて、事業スキームを構築すること。同社では、関東圏を中心に約8万トンの産廃系廃プラスチックを取り扱っているものの、多くが未利用資源となっている。引き続き幅広いリサイクルニーズに対応すべく選別機能の向上や高効率発電の技術開発のほか、素地メーカーや消費財、耐久消費財メーカーとの協業、地方自治体や大学などとの連携を進めていく構えだ。

提供:モーニングスター社

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