<新興国eye>ロシアRTS指数、1カ月ぶり取引再開で9%安―政府や新興財閥が株価下支え

新興国

2022/3/25 14:20

 約1カ月間休場していたロシア株式市場が24日、取引を再開し、RTS指数(ドル建て)の終値は前営業日(2月25日)終値比9.00%安の852.64となった。もう一つの株価指数で、ルーブル建てのMOREX指数は一時12%高となり、4.37%高の2578.51で引けた。

 ロシア株式市場はロシア軍によるウクライナ侵攻開始(2月24日)に伴う西側諸国の対ロ経済制裁を受け、ロシア中銀は国内からの資本流出を防ぐため、資本規制の一環として、株式取引を停止。最後の取引となった2月25日のRTS指数は終値で前週比32.7%安の936.94と、続落している。

 取引が再開された24日は、上場全株ではなく、エネルギーや資源関連を中心とした大手33社の主要株に限定され、空売りが禁止する形で、午前9時50分から午後2時まで変則的に開かれた。取引では財務省がロシアの年金制度を支えるための国民福祉基金(NWF)を使って、人為的に株価の急激な下落を抑える市場介入を実施したほか、33銘柄に関連している新興財閥も27億ドルを投じ、買い戻しに入ったもようだ。対ロ制裁が続く中、新興財閥は24日の値上がり益を享受している。

 24日の取引では、国営天然ガス生産・供給大手ガスプロムや石油大手ルクオイル、国営石油大手ロスネフチ、アルミ地金生産で世界最大手UCルスアル、リン酸肥料最大手フォスアグロ、金鉱山最大手ポリウス・ゴールド、ロシア最大のダイヤモンド鉱山会社アルロサがいずれも売られ過ぎたとして買い戻され、2ケタ台の高い伸びとなった。対照的に、ロシア航空大手アエロフロートは11%安と急落した。アエロフロートは対ロ経済制裁の一環で、EU(欧州連合)と米国、カナダにより領空通過が禁止されている。

 これまでの取引停止の背景には、株式市場や通貨ルーブルの暴落懸念に加え、西側諸国が発表した対ロ経済制裁措置として、ロシアの主要銀行の資産凍結やロシア中銀の外貨準備凍結、全世界の銀行間金融取引の仲介・実行を行うSWIFT(国際銀行間通信協会)からのロシア排除が決まったことを受け、株式売買が困難になっていることがある。

 今週のロシア市場は、ロシア中銀が25日以降のモスクワ証券取引所での運営形態を決めるため、取引再開は依然不透明となっている。すでに当局は取引が再開された場合、ソブリン・ウェルス・ファンド(国家投資ファンド)から1兆ルーブル(約100億ドル)の資金を使って、ロシア株を買い支える方針を示しているが、取引の再開が進むにつれ、2月25日の取引停止時点から30-40%急落する可能性があると見られている。

 西側諸国の市場関係者は、対ロ経済制裁でロシアが世界の金融システムから孤立している間は取引に参加できないため、ロシア市場は正常には機能せず、当面の時間稼ぎに終わると見ている。

<関連銘柄>

 iSエマジン<1582.T>、WTI原油<1671.T>、ガス<1689.T>、

 原油<1690.T>、野村原油<1699.T>、iエネルギー<2024.T>

提供:モーニングスター社

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ