<新興国eye>ハンガリー中銀、1.00ポイント追加利上げ―利上げ継続へ

新興国

2022/4/27 13:23

 ハンガリー中央銀行は26日の金融理事会で、主要政策金利であるベース金利(準備預金への付利金利)を1.00ポイント引き上げ、5.40%とすることを決めた。市場予想通りだった。

 中銀は他の政策金利も同率で引き上げ、ベース金利の上下幅(コリドー)の下限を示す翌日物預金金利を5.40%、上限を示す翌日物有担保貸出金利と7日物有担保貸出金利は、コリドーの上限(ベース金利との乖離幅)をそれぞれ8.40%とした。新金利は27日から適用される。

 中銀は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の沈静化による経済活動の再開でインフレが加速し始めたことを受け、21年6月会合でベース金利だけを約10年ぶりに0.30ポイント引き上げ、他の金利は据え置いた。同7月会合から同11月16日会合まではすべての政策金利を同率引き上げ、同11月30日の緊急会合ではベース金利以外の金利を引き上げた。ベース金利の引き上げは、これで利上げは11会合連続。利上げ幅は計4.80ポイントに達した。

 中銀は大幅利上げを決めたことについて、声明文で、「ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は、インフレの見通しに対し、通常よりもはるかに高いリスクをもたらしている」とし、強いインフレ懸念を示した。その上で、「インフレ期待を抑制し、第2ラウンド効果(賃金上昇によるインフレ加速)のインフレリスクを軽減するため、金融状況を引き締め、かつ、ベース金利の引き締めサイクルを継続する必要がある」と述べている。

 3月のインフレ率(全体指数)は前年比8.5%上昇、コアインフレ率も同9.1%上昇と、それぞれ2月の同8.3%上昇や同8.1%上昇を上回り、伸びが加速。中銀では、「22年4-6月期にはサプライチェーンの寸断の悪影響により、インフレ率がさらに上昇する可能性がある」と警戒している。

 ただ、前回3月会合時と同様に、「ウクライナをめぐる紛争や対ロ経済制裁の影響の薄れ、利上げ効果などにより、インフレ率は23年下期に中銀の物価目標の許容範囲に収束し、24年上期には物価目標の3%上昇に達する。23年は3.3-5.0%上昇、24年には物価目標に沿って低下する」とし、中期的にはインフレ率は低下するとの見方を変えていない。

 金融政策の見通しについては前回会合時と同様、「今後、インフレ率が持続的に物価目標の水準で安定し、インフレ見通しの上ブレ・下ブレの両リスクが金融政策のタイム・ホライズン(時間軸)で均衡するまで利上げサイクルを続ける」とし、利上げ継続の考えを改めて強調した。

 景気見通しについては、「紛争の期間や対ロ制裁にもよるが、22年のGDP伸び率は2.5-4.5%増、23年は4-5%増、24年は3-4%増と、従来予想より遅いペースとなる」との見方を据え置いた。

 次回の金融政策決定会合は5月31日に開かれる予定。

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 上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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