<新興国eye>イオンモールのカンボジア物流センター、起工式を開催

新興国

2022/5/27 14:11

 5月11日、イオンモールカンボジアロジプラスは、カンボジア南部のシアヌークビルで、新たに取り組む物流事業の拠点となる「シアヌークビル物流センター」の起工式を開催しました。式典には、三上正裕大使、JETRO(日本貿易振興機構)、JICA(国際協力機構)、カンボジア日本人商工会などの関係者も参加しました。

 カンボジア政府は、経済成長施策の一環としてシアヌークビル港と隣接する経済特区の一部を自由貿易港として一体運用する構想を進めてきており、日本政府が支援してきました。イオンモール<8905.T>は、この構想の実現に向けた最初のパイロット事業者として、シアヌークビル港に隣接する経済特区内にシアヌークビル物流センターを開設するものです。

 物流センターでは、カンボジア初の保税倉庫(敷地面積約3万平方メートル)を整備します。保税倉庫は輸入手続きが済んでいない外国からの貨物を保管するもので、保管中には関税などが課税されず、需給に応じ必要な量だけ通関手続きを経て持ち出せるものです。

 物流センターは、既存のシアヌークビル港コンテナターミナルに隣接していることに加え、日本の円借款の支援で建設予定の新たなコンテナターミナル(第1期25年完成予定)へも好アクセスとなっています。また、プノンペンとシアヌークビルを結ぶ高速道路が本年中にも開業予定で、開通後の車での所要時間は現状の約6時間から約2.5時間に短縮される見込みです。

 シアヌークビル州は、中国からの集中豪雨的投資や中国人の増加により、「中国化」が進んでいます。その中で、日本の支援により拡充されてきたシアヌークビル港はカンボジアの唯一の深海港であり戦略的にも重要な港湾であるため、中国の影響下に置かれないようにすることは大変重要となっています。この観点からもシアヌークビル港に隣接する経済特区に日本の大手企業が入居することは、大きな意義があることであり、日本の官民が協力して今後もシアヌークビル港と経済特区への支援を継続していくことが期待されます。

【筆者:鈴木博】

1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin-Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。

◎当該記事は外部執筆者により作成されたものです。記事は執筆者が信頼できると判断したデータなどにより作成いたしましたが、その正確性などについて保証するものではありません。

提供:モーニングスター社

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ