ゼネテック、3次元ソフト売上増へ―製造・物流現場の効率化支援

株式

2022/5/31 8:50

 ソフトウエア開発などのデジタルソリューション事業を展開するゼネテック<4492.T>は、3次元シミュレーションの「FlexSim(フレックスシム)」の売上拡大が見込まれる。また、災害時に位置情報通知するアプリ「ココダヨ」もテレビCMにより知名度を高めつつある。

<収益の伸びけん引、今期42%増益>

 ゼネテックは自動車や家電向けの組み込みソフトや電子回路の設計を手掛ける。ハードとソフトの両面をカバーするほか、クラウド連携にも定評がある。また、3次元CAD/CAMソフトでは、世界トップシェアの「Mastercam(マスターキャム)」の日本での正規輸入代理店を担っている。

 企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を追い風に、23年3月期の連結業績は売上高59.6億円(前期比27.3%増)、営業利益2.7億円(同42.0%増)を計画。製造ラインや物流倉庫の効率化に貢献するFlexSimや、AI(人工知能)ソフトの「iPerfecta(アイパーフェクタ)」が収益の伸びをけん引する。

 FlexSimは米国企業が開発し、ゼネテックは日本での総代理店として販売を手掛ける。3次元モデルを採用し、製造ラインに組み込まれる作業者やロボット、クレーンなどを視覚的に捉えることで効率的なモデルを構築。完成後に判明することが多い生産ラインも問題点を、同ソフトはシミュレーションを駆使して事前に把握できる。米国のアマゾン・ドット・コムやアップル、ボーイングのほか、日本ではトヨタ自動車<7203.T>など錚々たる企業が採用している。

<AI搭載品もフル寄与、位置情報通知アプリに勢い>

 一方、昨年10月に販売を開始したiPerfectaは、FlexSimにAIを搭載し、少ないデータからでも最適な生産現場を設計できる。FlexSimにはモデルの構築に時間がかかる面があったが、AIの技術でその点を効率化した。同社の今後の業績を支える見通しだ。

 災害時位置情報通知アプリの「ココダヨ」は、累計75万ダウンロードを突破し、2018年より提供を開始したNTTドコモの「スゴ得コンテンツ」向けココダヨでは、アクティブユーザー数が前3月期末で約35万人に上っている。今年2-3月に投下したCM効果も大きく、放送期間中のダウンロード数と課金数は前年同期比で6.5倍に急拡大した。同社によれば、放映終了後も利用数の底上げにつながっている。

 このほか、1月にバート社(埼玉県さいたま市)を子会社化したことで、独SAPのERP(基幹システム)との連携も含めた新たなるソリューションの開発にも取り組んでいくことが見込まれる。

提供:モーニングスター社

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