<新興国eye>ブラジル中銀、政策金利を0.50ポイント引き上げ―次回会合では小幅利上げを示唆

新興国

2022/8/4 13:17

 ブラジル中央銀行は3日の金融政策決定委員会で、最近の急速なインフレ上昇を受け、期待インフレを抑制するため、政策金利(セリック)である翌日物金利誘導目標を0.50ポイント引き上げ、13.75%とすることを全員一致で決めた。市場予想通りだった。

 中銀はインフレの急加速を受け、21年3月会合で15年7月以来、5年8カ月ぶりに利上げに転換。5月と6月は各0.75ポイント、8月は1.00ポイント、10月と12月は各1.50ポイントの大幅利上げを実施。2月会合でも同率の大幅引き上げを決めたが、3月と5月の会合で上げ幅を1.00ポイント、前回6月会合ではさらに半分の0.50ポイントに縮めた。利上げはこれで12会合連続となり、21年3月以降の利上げ幅は計11.75ポイントに達した。

 中銀は会合後に発表した声明文で、追加利上げについて、「インフレ見通しに対するリスクは上ブレ・下ブレの両リスクがある。コモディティ(国際相場商品)相場が部分的にでも元に戻る、また、予想以上の景気減速により、インフレ率が低下するリスクがある一方で、世界的なインフレ圧力上昇の長期化や将来の財政見通しの不確実性(財政肥大化)と追加財政刺激策によるソブリン債のリスクプレミアム(国債金利に対する上乗せ金利)上昇によるインフレ上ブレリスクがある」とした。そのうえで、「総需要を支える財政政策が恒久的になる可能性がインフレ上ブレリスクを高める」としている。

 また、「国内外のインフレ見通しの不確実性に加え、金融政策(利上げ)サイクルが進行段階にあり、まだその効果が見られていないことから、われわれの金融政策にはさらなる注意が必要となっている」とし、利上げ継続の必要性を指摘。

 今後の金融政策については、「インフレ加速の見通しや長期のインフレ期待の上昇リスクを考えると、金融引き締めをさらに厳しい制限領域(景気に打撃を与えることになる政策金利の水準)にまで進めることは適切であり、ディスインフレ(物価上昇率の鈍化)のプロセスと物価目標近辺でのインフレ期待が確実になるまで、この戦略を続ける」とした。ただ、「次回の会合では、より小規模の調整(利上げ幅の縮小)が必要と判断している」と次回9月会合では小幅利上げとなる可能性を示唆した。

 中銀は利上げサイクルの継続する方針を示した背景には、インフレ率が22年と23年に高くなるとの見通しがある。中銀は声明文で、インフレ見通しについて、「22年のインフレ率を6.8%上昇(前回会合時は8.8%上昇)、23年を4.6%上昇(同4%上昇)と予想している」とし、いずれも前回会合時の予想を引き下げたが、22年と23年の物価目標(それぞれ3.50%上昇と3.25%上昇)をオーバーシュートする見通し。また、24年の見通しを2.70%上昇とし、物価目標に収束するとしている。

 6月のインフレ率は全体指数で前年比11.89%上昇(5月は11.73%上昇)と、22年と23年の物価目標を大きく上回っている。

 次回の金融政策決定会合は9月20-21日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 ボベスパ<1325.T>、上場MSエマ<1681.T>、上場EM債<1566.T>

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