<飛翔期待のお宝株>ファンド売りで割安に――好業績の富士石油
2022/8/23 16:00
富士石油<5017.T>が8月10日に発表した23年3月期第1四半期(4-6月)の連結決算は、売上高が2086億円(前年同期比4.6倍)、経常損益が187億円の黒字(前年同期は9億円の赤字)に膨らんだ。通期の業績予想については売上高を7023億円から8717億円(前期比80%増)に、経常利益を81億円から241億円(同50%増)へと大きく引き上げている。
―劇的な収益拡大、石油製品好調-
4-6月の劇的な業績改善は、製品マージンが前年同期比で129億円も増加したことが背景にある。これには定期修繕の反動というテクニカル的な理由も含まれるが、要因としては石油製品販売量が同3倍近く増加したことが大きい。ガソリン、ナフサ、ジェット燃料の伸びが顕著だ。
石油業界は原油高の局面で在庫評価益が膨らむ傾向がある。しかし、同社の4-6月の在庫評価益101億円は、同業のENEOSホールディングス<5020.T>や出光興産<5019.T>、コスモエネルギーホールディングス<5021.T>の大手3社に比べて利益に占めるウエートが小さく、市況だけに依存しない好業績は見逃せない。
富士石油の株価は決算の翌営業日(12日)の寄り付きこそ高かったものの、その後は振るわず上げ幅がほぼ帳消しになった。大株主のシティインデックスイレブンスが保有株の大半を売却したことで、個人投資家のろうばい売りを招いた感がある。
―もう一段の上積みも―
しかし、こうした動きによって同社の株価は340円前後(PER1.3倍、PBR<株価純資産倍率>0.4倍)と超割安な水準に抑制されている。修正後の通期見通しの前提は、第2四半期(7-9月)以降のドバイ原油価格が1バレル=90ドルで、為替は1ドル=130円。時価と比べて保守的なため、もう一段の収益の上積みも視野に入る。
同社が示している交易条件の感応度から推計すると、原油価格が1ドル上昇した上でドル・円が1円円安になると、年間ベースで4億円の経常増益要因になる。今冬は昨年以上にエネルギー価格が高騰する可能性が高いと考えると、株価の割安修正余地は大きそうだ。
提供:モーニングスター社
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