<新興国eye>ポーランド中銀、予想に反し金利据え置き―市場は利上げ再開を予想

新興国

2022/10/6 9:15

 ポーランド中銀は5日の金融政策委員会で、これまでの急速な利上げ継続による景気後退懸念を受け、主要政策金利の7日物レファレンス金利を6.75%に据え置くことを決めた。据え置き決定は市場の利上げ予想に反し、サプライズとなった。

 また、中銀はロンバート金利と再割引金利、公定歩合、預金金利もそれぞれ7.25%、6.80%、6.85%、6.25%と、いずれも据え置いた。

 中銀はコロナ禍による経済への悪影響を緩和するため、20年の3月17日の緊急会合で5年ぶりに0.50%ポイントの大幅利下げを決めた。その後も5月まで3会合連続で引き下げ、利下げ幅が計1.40ポイントに達したことを受け、6月会合で据え置きに転じた。21年9月会合まで14会合連続で金融緩和を維持したが、その後のインフレ急加速を受け、21年10月会合で9年5カ月ぶりに利上げに転じた。利上げサイクルは前回9月会合の11会合連続で停止。利上げ幅は計6.65ポイントに達している。

 中銀は金利据え置きを決めたことについて、会合後に発表した声明文で、「これまでの大幅な金融引き締めと、今後、外部ショックに起因する経済活動の低迷により、需要の伸びが抑制され、それがインフレ率を低下させ、物価目標への収束を後押しすると判断した」とし、利上げが行き過ぎで景気が悪化しないよう、これまでの利上げ効果を見守りたい考えを示している。

 中銀は、「ロシアのウクライナに対する軍事攻撃の影響と、世界的なサプライチェーンの混乱(といった外部ショック)がコモディティ(国際相場商品)相場を上昇させ、今の高インフレの主な要因となっている」としたが、「国内の鉱工業生産や建設、小売売上高などの月次データが前年比で再び減速。今後数四半期はGDP成長率がさらに減速する」とし、景気後退懸念を強めている。同国の4-6月期は前年比5.5%増と、1-3月期の同8.5%増から減速しており、7ー9月期も3期連続の景気減速になると予想している。

 今後の金融政策の見通しについて、中銀は前回会合時と同様、「マクロ経済と金融の安定を確保するために必要なすべての措置を講じる。これには、とりわけ、インフレが上昇し続けるリスクを軽減することが含まれる」とし、追加利上げの可能性に含みを残した。

 市場では今回、中銀は金利据え置きに転じたものの、一時的で、11月に発表する最新の経済予測で新たなインフレリスクが示され、利上げサイクルを再開すると見ている。

 次回の会合は11月9日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 上場EM債<1566.T>、上場MSエマ<1681.T>

提供:モーニングスター社

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