<新興国eye>ハンガリー中銀、予想通り金利据え置き―2会合連続

新興国

2022/11/24 8:50

 ハンガリー中央銀行は22日の金融理事会で、主要政策金利であるベース金利(準備預金への付利金利)を13.00%に据え置くことを決めた。市場の予想通りだった。

 他の政策金利も同様に、ベース金利の上下幅(コリドー)の下限を示す翌日物預金金利を12.50%に、上限を示す翌日物有担保貸出金利を25.00%に、いずれも据え置いた。

 中銀はウクライナ戦争の勃発(2月24日)以降、インフレ抑制のため、ベース金利の引き上げを継続。直近では6月会合で1.85ポイントの大幅利上げを決め、7月12日の臨時会合でも2.00ポイントの大幅利上げを決めている。9月会合でも1.25ポイント引き上げたが、前回10月会合から据え置き転換、利上げは17会合連続で止まった。これで据え置きは2会合連続。利上げ幅は計12.40ポイントに達し、金利水準も99年12月(14.5%)以来22年9カ月ぶりの高水準となっている

 中銀は会合後の声明文で、インフレ見通しについて、前回会合時と同様、「22年のインフレ率は平均で13.5ー14.5%上昇となる可能性がある。インフレ率は23年前半にゆっくりと低下し、年央からさらに大幅に低下する。24年前半には物価目標の範囲内に戻る」としている。

 10月のインフレ率は全体指数が前年比21.1%上昇、コア指数が同22.3%上昇と、9月(全体指数は20.1%上昇、コア指数は20.7%上昇)を上回ったが、中銀は、「依然、インフレ率は夏をピークに大幅に下回っている」とし、インフレはピークを過ぎたと見ている。

 また、中銀は今後の金融政策について、前回会合時と同様、「長期にわたって、現在の金利水準を維持することは、金融政策の期間にわたる物価安定目標の達成と整合する」とした上で、「引き締め的な金融環境が長期にわたって維持されることで、インフレ期待が落ち着き、物価目標が持続的に達成されることが確実となる」とし、利上げ停止と量的金融引き締め(QT)の継続が適切との判断を示している。

 QTについては、中銀は8月会合で、利上げ効果を高めるため、今秋から金融システムから流動性を吸収し、短期市場金利を金融政策スタンスと合致させるため、3つの措置を決めている。一つ目は預金準備率の引き上げ、2つ目は定期的な手形売出オペ(入札)の実施、3つ目は長期の預金ファシリティーの導入。これらの措置は通貨フォリント高を狙ったもの。通貨安は輸入インフレを押し上げ、インフレ全体を加速させるからだ。

 このQT方針に従って、中銀は金融市場から資金を吸収するため、「11月末に2カ月物のターム預金入札を行い、銀行セクターの流動性を長めに捕捉する」としている。また、「12月初旬から中銀は再びユーロの流動性を供給するため、FX(通貨)スワップ入札と、満期が年末超える手形売出オペを行う」としている。

 次回の金融政策決定会合は12月20日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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