<新興国eye>トルコ10-12月期GDP伸び率、前年比3.5%増―2期連続で伸び鈍化

新興国

2023/3/3 9:03

 トルコ統計局が2月28日発表した22年10-12月期GDP(国内総生産)伸び率(季節調整後、09年=100として)は前年比3.5%増(前期比0.9%増)と、前期(7-9月期)の同4%増(同0.1%減)や前々期(4-6月期)の同7.8%増(同1.8%増)を下回り、2期連続で伸びが減速、20年4-6月期(前年比10.3%減)以来、2年半ぶりの低い伸びとなった。ただ、市場予想(3.0%増)を上回った。

 この結果、22年全体では前年比5.6%増と、21年の同11.4%増を大幅に下回り、20年の同1.9%増以来、2年ぶりの低い伸びとなった。ただ、市場予想(5.2%増)を上回った。

 22年9月4日に政府が発表した新中期3カ年経済計画(23-25年)では、23年は5.0%増、24年と25年はいずれも5.5%増になると予想している。しかし、これは2月6日の大震災前の予測のため、市場では23年の成長率は大幅に減速、特に死者数が5万人を超えた今回の大震災の悪影響は製造業に強く及ぶと予想している。世銀が2月27日に発表した最新リポートでは、トルコの大震災による物的被害は最大342億ドル、復興費用はその2倍に達する見通しで、23年の成長率は従来予想の3.5-4.0%増から約0.5ポイント下方修正されるとしている。

 10-12月期GDP伸び率の主な内訳は、GDPの約半分を占める家計最終消費支出(個人消費)が前年比16.1%増と、前期の同20.4%増から伸びが減速、全体の伸びを抑えた。ただ、10期連続の増加となり、前期比では4.9%増と、前期の4.4%増から伸びが加速している。市場では高インフレ(12月のインフレ率は前年比64.27%上昇、11月は同84.39%上昇)により、消費が抑えられたと見ている。

 GDP押し上げ要因の輸出は前年比3.3%減と、前期の12.4%増から9期ぶりに減少、個人消費と同様、輸出にも陰りが見えている。世界景気の後退が背景。一方、GDP押し下げ要因の輸入は同10.2%増と、前期の同11.9%増から5期連続で増加した。しかし、輸出の伸びが輸入を下回ったため、外需全体としてGDPの押し下げに寄与している。

 他方、総固定資本形成は同2.6%増と、前期の同0.8%減から増加に転じた。政府最終消費支出も同9.0%増と、前期の同4.7%増の約2倍となり、18年の大統領選挙以来4年ぶりの高い伸びとなった。市場では政府支出の拡大が個人消費の陰りを補ったと見ている。今後、5月初旬の大統領選と国会総選挙を控え、レジェプ・タイップ・エルドアン大統領は新たな景気対策を打ち出すと見ている。

 一方、生産面で見た、10-12月期GDP伸び率の主な内訳は、金融・保険業が前年比13.4%増と、最も高い伸びとなった。次いで行政支援などの専門職サービスは同9.1%増。サービス業は同8.6%増、その他サービス業は同6.2%増、情報・通信業は同5.2%増、不動産業は同4.8%増、公共行政・教育・医療・社会福祉は4.7%増と、いずれも全体のGDP伸び率(3.5%増)を上回った。対照的に、鉱工業は同3.0%減(うち、製造業は同1.6%減)と、最も低い伸びとなった。農林水産業は同0.3%減、建設業は同2.0%増だった。

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