<飛翔期待のお宝株>還元か非上場化か、選択を迫られる民放キー局株

株式

2023/3/20 16:02

 当欄でパチンコ業界特需の大本命として昨年12月に取り上げた、ゲームカード・ジョイコホールディングス(GCジョイコ)<6249.T>が期待通りの大相場を演じた。前回2月13日付でもフォローアップを紹介したが、この3カ月間で株価は1800円台から5000円目前まで駆け上がっている。そこで今回は、同じ斜陽産業に属する民放キー局を取り上げたい。正直なところ、成長ストーリーが描けない中で、パチンコ業界のような特需もないジリ貧の状態だ。キー局のIR(投資家向け広報)活動などからは、経営者の危機意識の欠如の深刻ぶりがうかがえる。

<低PBRの是正迫る>

 しかし、そんなキー局も大きく動かざるを得ない局面に差し掛かったのではないだろうか。株価のPBR(株価純資産倍率)が1倍割る企業への風当たりが強まっている。東証はそうした企業の経営者に対し、「資本コストや株価を意識して、ファンドマネジャーやアナリストと対話する」よう求めている。

 キー局のPBRはといえば、テレビ東京ホールディングス<9413.T>が0.7倍で、4大に至っては日本テレビホールディングス<9404.T>、テレビ朝日ホールディングス<9409.T>が0.3倍台、フジ・メディア・ホールディングス<4676.T>とTBSホールディングス<9401.T>は0.4倍台の体たらくだ。

 各社の問題は、たとえ爆発的な株主還元をしても、成長戦略が描きづらいことだ。PBRの向上には、株主還元と成長戦略の両輪が必要となる。還元だけで1倍に届かないのは、海運の商船三井<9104.T>の配当利回りが15%台なのにもかかわらずPBRが0.7倍にとどまることからも納得できるだろう。

 しかし、一方でキー局はキャッシュや投資有価証券、内部留保に加え、都心の保有地などの資産が豊富だ。このため資金をねん出するのは比較的容易と言える。株主還元の拡充だけではなく、非上場化の道を選ぶオプションも有している。

<テレビ朝日H増配は「試金石」か>

 直近では、試金石とも読み取れる動きもあった。テレビ朝日Hは16日、増配(特別配当10円増)を発表した。この程度では焼け石に水だが、市場の反応をうかがったようにも見えなくない。

 テレビは横並び体質が強い業界なだけに、1社が大きな決断をすればそれに追随する流れが形成されるだろう。米シリコンバレー銀行(SVB)の経営破たんの余波を受けて売られたバリュー(割安)株の中で、押し目買いを狙いたいセクターだ。

 なお、この「飛翔期待のお宝株」は多くの反響をいただいている。しかし、難しい相場が続く中で高パフォーマンスが期待できるお宝株は簡単には見つからない。よって、数カ月に1度の掲載になってしまうかもしれない点をご理解賜りたい。

提供:ウエルスアドバイザー社

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ