<新興国eye>ロシア中銀、予想通り金利据え置きもタカ派姿勢を維持―インフレ抑制で利上げに含み(1)

新興国

2023/5/2 9:02

 ロシア中央銀行は先週末(4月28日)の金融政策理事会で、インフレ加速リスクを警戒する中、主要政策金利である資金供給のための1週間物入札レポ金利と資金吸収のための1週間物入札預金金利を7.50%に据え置くことを決めた。市場の予想通りだった。

 中銀はロシア・ウクライナ戦争の勃発(22年2月24日)と、それに伴う西側の対ロ経済制裁により、インフレ圧力が一段と高まったことや、ルーブルが一時30%も急落したことを受け、22年2月28日の臨時会合で、主要政策金利を9.50%から一気に20.00%に引き上げた。しかし、同4月の臨時会合から景気を支援するため、利下げサイクルに転換。利下げ幅が計12.50ポイントに達し、ウクライナ戦争開始後の緊急利下げ分(10.50ポイント)を大きく上回ったことを受け、同10月会合から金利据え置きに転換した。現状維持はこれで5会合連続だが、金利水準は21年12月(7.50%)以来の低水準となっている。

 中銀は会合後に発表した声明文で、金利を据え置いたことについて、前回3月会合時と同様、「現在の物価上昇率はインフレのコア指数を示すコンポーネントを含め、緩やかなままだ。家計部門のインフレ期待は低下している」とし、インフレ懸念が緩和していることを指摘した。3月のインフレ率は前年比3.5%上昇と、2月の11.0%上昇や1月の同11.8%上昇から伸びが大きく鈍化した。ただ、中銀は、「4月に家計部門のインフレ期待は低下したが、企業部門のインフレ期待は上昇した。家計と企業のインフレ期待は依然高水準だ」とし、警戒感を緩めていない。

 その上で、中銀は前回会合で使った、「中期的なインフレ見通しに対するリスクバランスは、依然、インフレ上振れリスクで変わっていない」とし、「インフレ加速リスクが強まれば、中銀は次回6月会合で主要な政策金利の引き上げの必要性について検討する」との文言を残し、利上げ再開の可能性に含みを残している。市場では中銀はタカ派(インフレ重視の強硬派)姿勢を変えていないと見ている。(2)につづく

<関連銘柄>

 RTS連動<1324.T>、WTI原油<1671.T>、ガス<1689.T>、

 原油<1690.T>、野村原油<1699.T>

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