<新興国eye>前週の上海総合指数、人民元安の進行や米中通商関係の悪化懸念受け反落=BRICs市況
2023/5/29 9:08
前週(22-26日)の中国株式市場は主要指標である上海総合指数が週間ベースで反落。26日は3212.5(19日終値比2.16%安)だった。
週明け22日は指数が上昇。翌23日は反落した。25日まで3日続落。
週前半は、中国人民銀行(中銀)が経済成長を支援する考えを示したことや、人民元の下落阻止の対策を講じたこと、さらには人民元の対米ドルレートの基準値を元高方向に設定したことも好感され、買いが優勢となった。その後は、市場が中国の景気回復に対する懐疑的な見方が広がったことや、外国人投資家が売り越しとなったこと、金融当局の対策にもかかわらず、人民元安が進んだことで、金融緩和余地が狭まったことが嫌気され、1カ月ぶりの大幅安となった。
週後半は、景気回復懸念に加え、人民元の下落に歯止めがかからないことも売り材料となった。また、4月末に始まった新型コロナ感染が6月には1週間あたり約6500万人に拡大するとの専門家の予測も相場の重石となった。その後は、米デフォルト(債務不履行)懸念や中国の金融引き締めの長期化懸念など悪材料に押され、売りが一段と強まった。また、米中通商紛争の激化懸念も嫌気された。中国政府の米半導体大手マイクロン・テクノロジーの製品調達禁止の対抗措置として、米議会が中国半導体メモリー大手の長キン存儲技術(CXMT)に貿易制限をかける動きを強めていることが背景。
週末26日は反発。米国のグラフィック・プロセッサ(GPU)大手エヌビディアが好決算で株価が急騰したことを受け、中国市場でも半導体セクターが買われ、上げをけん引した。ただ、レモンド米商務長官と中国の王文濤商務相の通商協議で、双方が通商政策や投資について懸念を表明したため、米中貿易摩擦懸念が強まり、上値が重くなった。
今週(5月29日-6月2日)の株式市場は台湾情勢やハイテク産業を巡る米中関係、世界経済の動向、海外の金融市場の動向、国内では景気対策、人民元相場、石炭や原油などのコモディティー相場も注目される。主な経済指標の発表予定は31日の5月中国製造業PMI(購買担当者景気指数)や1日の5月CAIXIN(財新)中国製造業PMIなど。
<関連銘柄>
上証50連動<1309.T>、上場パンダ<1322.T>、上場チャイナ<1548.T>、
H株ブル<1572.T>、H株ベア<1573.T>、中国A300<1575.T>、
南方A50<1576.T>
提供:ウエルスアドバイザー社
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