アイリッジ、小田健太郎社長が語る成長戦略
2023/7/26 9:07
アイリッジ<3917.T>はアプリビジネスプラットフォーム「APPBOX」とデジタル地域通貨プラットフォーム「MoneyEasy」が今後の収益成長のエンジンとなりそうだ。代表取締役社長の小田健太郎氏に今後の戦略を聞いた。
――前3月期決算についてご説明ください。
「前期の連結営業利益は3億7800万円(前々期比10.7%増)となりました。デジタル地域通貨プラットフォームのMoneyEasyが伸長したほか、OMO事業では主力プロダクトのアプリ向けマーケティングツール『FANSHIP』でユーザー数が順調に増加し、ストック型収益の安定した拡大につながっています。営業利益は1月に下方修正した見通しから大きくばん回しましたが、これは外注費が見通しと比較して低減したことが要因となっています」
――MoneyEasyが大幅増収・増益となり、前期は全体業績に大きく貢献しましたが、同プラットフォームの今後の見通しを教えてください。
「MoneyEasyは地域に根ざす通貨として継続して利用していただくものとして導入いただいており、基本的にはストック型(積み上げ型)のソリューションとなっています。前期は、アフターコロナの経済支援策が追い風となり、自治体における導入が進み、フィンテック(金融のIT化)事業の前期売上高が前々期比2.7倍と拡大しました。今期は、フィンテック事業の中・長期の収益基盤をしっかりと固めるための取り組みを進めていくことを考えています」
――OMO事業ではオンラインマーケティングの成長が続いています。
「前期はOMO事業のオンラインでは、アプリの開発支援などの導入が進んだ1年となりました。LINEミニアプリの開発支援も寄与しており、今期もデジタル化ニーズをとらえた成長継続が見込まれます。オフラインは前期まではリアルのイベントなどがまだコロナ禍前の状態には戻っておらず回復途上でしたが、今期以降は回復基調になるとみています」
――中・長期の成長要因として注目されているのが、4月に導入された新プロダクトのアプリビジネスプラットフォーム「APPBOX」です。この概要をご説明ください。
「APPBOXは、従来のアプリ開発では、案件ごとにゼロから開発していたアプリで使う機能群(会員証機能、クーポン機能など30種類以上の機能)をSDKとして提供し、これらを組み合わせて使うことのできる、アプリビジネスに必要なすべてを支援するプラットフォームとなっています。具体的には、アプリのスクラッチ開発やパッケージ提供、既存アプリの機能拡張、マーケティング施策、また、他社開発アプリの機能拡張にも対応しており、企業の内製化も支援するものとなります」
「APPBOXでは、アプリに必要とする機能を組み合わせてアプリ開発を始めることができるという特長から、安価で迅速にアプリを開発できるパッケージ提供と、ゼロから独自のアプリを開発するスクラッチ開発の良さを組み合わせた画期的なサービスとなっています」
――APPBOXの現時点での進ちょくや、目標値などを教えてください。
「今下期からの収益貢献を想定しています。既存の取引先を中心に提案活動を進めており、足元は想定通りの滑り出しとなっています。来期以降はしっかり収益寄与していく計画です。目標としては、3年後に200社への導入を目指しています」
――今期は営業利益が小幅増益の計画となっています。
「今期は営業利益3億8000万円(前期比0.3%増)を計画しています。APPBOXを中心に次の成長に向けた投資を考えています。収益をしっかり生み出しつつ、成長投資に充てていく方針です」
――M&A(企業の合併・買収)などに関する考えをお聞かせください。
「継続的な成長のために、M&Aの可能性を常に考えています。既存領域をより強く成長させるための開発体制の強化をはじめ、変化の早いデジタル領域の事業の幅を広げる目的で、M&Aや業務提携の可能性があります」
提供:ウエルスアドバイザー社
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