<夏休みお宝株>第2弾:4-6月受注減も不安は杞憂か―芝浦機械

株式

2023/8/2 16:00

 先行きの不透明な世界景気の動向に関係なく、EV(電気自動車)用のリチウムイオン電池向けにセパレータフィルム(BSF)製造装置の引き合いが拡大している。夏休みお宝株の第2弾は、その有力メーカーである芝浦機械<6104.T>に注目したい。

―決算にネガティブ反応―

 同社が7月31日に発表した24年3月期第1四半期(4-6月)連結決算は、売上高が348億円(前年同期比31.2%増)、営業利益が26億円(同6.2倍)となった。大幅な増収増益ながら、前期本決算で示された驚がくの今期計画に対する進ちょく率は各19%(上期計画比は43%)、18%(同44%)にとどまったため、8月1日の株価はネガティブに反応した(安値は前日比7.8%安の4185円)。

 この理由となったのは、収益の見た目の進ちょくが高くなかったことに加えて、4-6月の受注高が389億円と前年同期比で38.4%も減少したためだ。しかし、これについては「受注計上のタイミングにより減少」(決算短信)とあり、取り立てて心配する必要はない。

 実際に、同社のIR(投資家向け広報)担当者によれば、「受注は偏りがあり、顧客ごとのタイミングのずれが100億円単位の変動につながることも少なくない」という。これによりBSFに相当する押出成形機の受注高は159億円(前年同期比56.8%減)となったが、前年同期の受注は高水準だったため、比較ハードルが高かったことも押さえておきたい。

―EV化の波に乗る―

 中国の景気回復が芳しくない中でも、オーダーのキャンセルはなく、6月末の連結受注残高は2134億円(前年同期末は1775億円、前期末は2092億円)と豊富で、今期の売上高見通し(1800億円、前期比46.1%増)を上回る。もともと受注から売上までのリードタイムが長いことも踏まえると、営業利益予想(150億円、同2.6倍)の達成確度は高い。

 世界的にEV化が加速する中で、BSFの需要は長期的に拡大が続く公算だ。自動車メーカーは日本勢も遅ればせながら、トヨタ自動車<7203.T>やホンダ<7267.T>が設備投資に本腰を入れている。

 芝浦機械の8月1日の終値は4270円。企業決算の発表が集中する中で、この日の下げは表面的な数字に左右されやすい短期筋の影響が色濃く出たと考えられる。おかげで割安感は増した。資本政策をめぐっても、同社は総還元性向を意識した経営にシフトしており、PER5倍台の株価には評価余地が大きく残る。遠くない将来に、2006年の上場来高値(調整後)7425円を目指す展開を期待したい。

提供:ウエルスアドバイザー社

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