<新興国eye>ブラジル中銀、予想通り0.50ポイント利下げ―次回も同率利下げを示唆

新興国

2023/12/15 9:16

 ブラジル中央銀行は13日の金融政策決定委員会で、政策金利(セリック)である翌日物金利誘導目標を0.50ポイント引き下げ、11.75%とすることを全員一致で決めた。市場の予想通りだった。

 中銀は8月会合で20年8月以来3年ぶりに利下げに転換。これで利下げは4会合連続、利下げ幅も計2.00ポイントに達した。2年2月(10.80%)以来の低水準となったが、依然、高水準に変わりはなく、インフレ抑制が期待される金融引き締め状況となっている。

 中銀は会合後に発表した声明文で、追加利下げを決めたことについて、前回会合時と同様、「経済活動は(今後数四半期にわたり)減速するという中銀予測と引き続き一致している」と述べ、現在、減速傾向にある景気の先行きに懸念を示した上で、利下げによる景気支援の必要性を強調している。

 また、中銀はディスインフレ(物価上昇率の低下)が進展したことなどを考慮し、追加利下げを決めたとしている。インフレについて、中銀は、「最近のインフレ率(全体指数)は依然として、予想通りディスインフレ(物価上昇率の低下)傾向にある」と指摘、コア指数を示すサービス物価の低下傾向が利下げを容易にしたとしている。

 ただ、中銀は中東紛争の激化とそれに伴う原油価格の上昇リスクに直面しており、前回会合時と同様、「国際環境(地政学的な緊張)を踏まえると、現在の局面は不確実性が高く、金融政策運営には慎重さが必要になっている」とし、政策運営が厳しくなっていると指摘している。

 中銀は、「23年のインフレ率は4.6%上昇(前回会合時は4.7%上昇)、24年は3.5%上昇(同3.6%上昇)、25年は3.2%上昇(同3.2%上昇)と予想している」とし、23年と24年を引き下げ、25年は据え置いたが、物価目標(3.0%上昇)を超えると予想している。

 今後の金融政策について、中銀は前回11月会合時と同様、「インフレシナリオが予想通りに進展すれば、次回月会合でも全員一致で、同規模の追加利下げを予想している」とし、その上で、「ディスインフレプロセスに必要な金融収縮(引き締め)政策を維持するにはこのペースが適切と判断する」とし、段階的に利下げを進める考えを示している。

 市場では今後も0.50ポイントの現在のペースで利下げを慎重に進める可能性が高いと見ており、24年末までに政策金利を9.00%に引き下げると予想している。

 中銀が利下げサイクルについて、段階的に進めるとしたのは、インフレリスクが残っているため。インフレ見通しについて、中銀は、「ディスインフレのプロセス(インフレの低下基調)が定着し、インフレ期待が物価目標近辺で安定するまで、縮小的な金融政策(金融引き締め)を継続する必要性がある」とし、その上で、「金融政策の次のステップはインフレ率の動向や長期予測、インフレ期待の長期見通し、アウトプット・ギャップ(需要量が供給量を上回ったインフレギャップ)に依存する」とし、急激な利下げを避けたい考え。フェルナンド・ハダド財務相は9月初め、中銀は利下げぺ-スを0.75ポイントに加速させるべきと発言している。

 次回の金融政策決定会合は24年1月31日に開かれる予定。

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