<新興国eye>トルコ中銀、金利を予想通り2.5ポイント上げ―利上げ終了と据え置き継続を示唆

新興国

2024/1/29 9:13

 トルコ中央銀行は先週(25日)の金融政策決定会合で、インフレを抑制するため、主要政策金利である1週間物レポ金利を2.5ポイント引き上げ、45.0%とすることを決めた。市場の予想通りだった。

 中銀は23年2月6日の大震災を受け、震災復興を支援するため、2月会合で22年11月以来3会合ぶりに利下げに踏み切ったが、23年3月会合で現状維持に転換。5月会合まで3会合連続で据え置いたあと、新総裁に就任したハフィゼ・ガイ・エルカン氏の下で初めて開かれた6月会合で21年3月以来2年3カ月ぶりに利上げに転換した。これで利上げは前回12月会合(2.5ポイント利上げ)に続き、8会合連続。45.0%の金利水準は18-19年のピーク時の24.0%を大幅に上回り、過去最高を更新した。

 中銀は会合後に発表した声明文で、追加利上げについて、前回会合時と同様、「現在の内需やサービス物価の強さ、地政学的リスクにより、インフレ圧力が維持されている」とし、インフレ懸念が続いていることを指摘。ただ、「12月の全体指数のインフレ率は最新の四半期インフレ報告書の経済予測通りだった」とした上で、「インフレ期待と企業の価格設定行動が引き続き改善の兆しを示している」とし、前回会合時と同様、利上げ幅を2.5ポイントに縮めたとしている。

 今後の金融政策について、中銀は、「金融引き締めの影響が景気とインフレに及んでくるまでのタイムラグ(時間差)を考慮し、ディスインフレのプロセス(インフレの低下基調)を確立するために必要な金融引き締めは達成されており、この水準は必要な限り維持される」とし、今回の会合で利上げサイクを終了させ、今後はタカ派寄りの金利据え置きを続けるフォワードガイダンス(金融政策の指針)を明らかにした。

 金利据え置きの期間については、中銀は、「毎月のインフレ率の傾向が大幅に低下するまで、また、インフレ期待が予想される範囲に収束するまで現行水準の政策金利が維持される」としている。

 市場では金利据え置きは今後数カ月間続き、その間、外貨保護預金からの迅速な切り替えや、預金準備率の引き上げなどの流動性引き締め策が継続され、利下げ開始は今年の下期(7-12月)になると予想している。一部では据え置きは長期化するとの見方もある。

 中銀は前回の会合で、金融引き締め効果を補完するため、公開市場操作(オペ)による過剰流動性を吸収するための不胎化措置として、市中銀行から入札方式でリラ建て預金を買い入れる「預金買い入れ入札」の再開と、市中銀行のリラ建て国債の購入比率の引き上げを新たに決めたが、今回の会合でも過剰流動性を吸収するための不胎化措置の継続を確認した。

 また、中銀は23年7月会合から実施している既存の量的金融収縮(金融引き締め)措置である、リラ安から企業や消費者の貯蓄を守るため、21年末に導入されたリラ建ての「為替保護預金(KKM)」制度(預金を外貨換算した際、目減りした損失を補填)を廃止、その代わりに通常のリラ預金口座への資金移動を進める措置の継続を決めている。今回の会合でも「金融引締めプロセスを支援するために自由に使える不胎化ツールを拡張することにより、量的引締めを継続する」と述べている。

 次回の金融政策決定会合は2月22日に開かれる予定。

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