<割安銘柄の逆襲>隠れたホテル関連、目指せ!プライム昇格

株式

2024/2/1 16:46

 日経平均株価が年初から大きく上昇している2024年の東京株式市場。半導体関連株などが先導役になってきた半面、業績面では好調が続くインバウンド(訪日外国人観光客)関連株の一角の値動きがさえない。しかし、事業環境を踏まえれば、これらにはいつ物色の矛先が向かってもおかしくないだろう。

―客室単価上昇で収益拡大けん引―

 訪日外客数は23年に2500万人を突破し、コロナ前の19年のピークの8割近くまで回復した。単月では12月にコロナ前を上回るなど、その勢いは増している。消費額も高水準で、特に宿泊費が大きく増加している。ショッピングよりも、「体験」や「滞在」にお金を多く使う傾向がみられ、都心のホテルの客室単価は上昇が顕著だ。

 そんな中で、株価が超割安に放置されているホテル株に東証スタンダード市場に上場するツカダ・グローバルホールディング<2418.T>がある。

 同社には婚礼事業の印象を持つ人もいるかもしれないが、インターコンチネンタル東京ベイ、ストリングスホテル東京インターコンチネンタル、キンプトン新宿東京といった高級施設を運営する、れっきとしたホテル関連株だ。全売上高に占めるホテル事業のシェアは、前2023年12月期第3四半期累計(1-9月)で35%まで上昇した(前年同期比は27%)。

 1-9月のホテル事業の売上高は、前年同期比47%増の138億円となり、セグメント損益は9.2億円の黒字(前年同期は20.6億円の赤字)に改善。宿泊稼働率と客室単価は着実に上昇しており、今期も業績拡大に貢献する可能性が高い。

―経営者持ち株売却の意図―

 ところが同社の株価は現在、PERがわずか5倍弱、PBR(株価純資産倍率)も0.7倍台にとどまる。こうした割安な水準には、幾つか理由がある。

 1つは、婚礼関連銘柄という先入観だ。少子化や晩婚・未婚化、簡素な挙式を選ぶカップルの増加といった、業界を取り巻くネガティブなイメージにバリュエーションが抑え込まれていると考えられる。ただ、前述したように、同社の期待材料はホテル事業だ。

 また、経営者による株式売却が相場を冷やした感は否めない。塚田正之社長らは23年9月に、同社株を一部売却し、保有比率が計約64%から60%に低下した。このことだけを見ると、「まだいくらでも売ってくるのでは」と投資家が疑心暗鬼になるのもうなずける。実際、株価が値崩れするターニングポイントになった。しかし、売却の目的は、プライム市場に昇格するために求められる「流通株比率35%」をクリアすることだ。同社によれば、22年末時点の同比率は約31%だった。

―株価はコロナ前視野に―

 プライム市場への移行には、「流通株式時価総額100億円」のハードルも乗り越えなくてはならない。それには、株価が現在よりも相当上昇する必要がある。

 同社の前期の連結営業利益の予想は47.4億円(前々期比59%増)。今期も収益拡大の継続が期待され、コロナ前の業績水準(19年12月期の営業利益は63.8億円)も見えてくるかもしれない。一方で株価は400円前後とコロナ前の600円台を大幅に下回り、仕込みには絶好のタイミングに映る。

 なお、ツカダGHは婚礼関連との比較でも、テイクアンドギヴ・ニーズ(T&Gニーズ)<4331.T>、アイ・ケイ・ケイホールディングス(IKKHD)<2198.T>に評価が割り負けしている。

提供:ウエルスアドバイザー社

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